離職予防士とは何か。コーチや人事が「組織を変えたい」と感じたときに知ってほしい資格

はい、ごめんください。離職予防士のコスギです。

Gallup 認定ストレングスコーチでもありますが、今年に入ってから中小企業向けの活動をしているため、メインの肩書きを「離職予防士」にしています。

今まで、企業向けに研修をしながら、個人の方向けにコーチングを提供していました。その相談内容の多くは、「自分の強みを活かした仕事に転職しようか迷っていて……」といったものです。

こういった相談に対して、私はまず、今の職場でどのように才能が活かされているのかを聴きます。なぜなら、上位資質が野生のままで自分がハンドリングできなければ、転職したところで同じ悩みを繰り返すためです。「才能」を「強み」として育てられている人は多くないですし。強みと認めるのは、自分ではなく外部評価のこともありますし。

ですが、仕事に対して真剣に考えている姿勢は誰もが共通していて、「ああ、こんなにも誠実な人を逃す組織はもったいないな」と、ずっと感じていたんですよね。だから企業研修もしていたのですが、クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)の活用は組織を選ぶことに気づき、歯がゆさを覚えていました。そんなときに見つけたのが「離職予防士」というワード。

個人の支援だけでなく、職場から変えていきたい。
強みを活かせる職場を、中小企業からつくっていきたい。

そういう、私のような方に読んでもらいたい記事です。ようやく、まとまりました〜〜

記事内にはアフィリエイトリンクを含みますが、離職予防士の資格が気になった方は、SNSでのDMや、フォームからお問い合わせいただければ、答えられることはなんでもお答えします。

目次

1人の離職にともなう損失額は?

個人の人生として「転職」はキャリアアップとしてアリですが、企業にとっては「離職」という損失です。まず、感情的な面は横においておき、合理的な話からいきましょう。

1人の社員が辞めたとき、企業が被る損失がどれくらいか、具体的に考えたことがあるでしょうか。

採用コストだけで新卒1人あたり約48万円、教育コストが約38万円、そして引き継ぎや生産性低下による損失が80万〜250万円。合わせると、たった1人の離職で180〜530万円規模の損失が発生するとされています(厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」をもとに離職予防士協会が試算)

採用して育てて、ようやく戦力になったところで辞められてしまうのは、企業にとってはマイナスでしかありません。

ですがコーチとして転職がテーマになる場合、本人の理由はたった1つに集約されます。「自分がこの職場にいる意味がわからなくなっている」です。背景はさまざまです。

  • 忙しすぎて自分を見失ってしまっている(視野が狭まっている)
  • 自分の強みをもっと活かしたいのに認めてもらえない(方向性が見えていない)
  • 人間関係が苦しい、なかなか相談できない(孤立している)
  • 単純に飽きた(当初の情熱を忘れてしまっている)

などなど。理由がわかれば、対処のしようもあるじゃないですか。これは本人や周囲の「人」がなんとかすることではなく、「仕組み(構造)」から変えていく必要があります……ただ、それができれば、企業側だって苦労してませんよね。

だから少なくとも、離職理由の約3分の1といわれる「職場における関わり方やマネジメントなど」の介入可能な要因から変えることで改善できます。給与や労働条件などの衛生要因は社労士さんと相談すべきケースもありますが、少なくとも人間関係・役割の不明確さ・成長実感のなさ・上司との関係などから始めることができるんです。

離職予防士が扱う、3つの領域と12の視点

離職予防士の活動の中心にあるのは、3つの活動領域と12の視点です。

文化・風土の領域では、理念が言葉だけでなく行動で語られているか、「あんな先輩になりたい」と思えるロールモデルがいるか、採用を誰か任せにしていないかなどを見ます。定着の領域では、正しさを押し付けていないか、社員を「人」として見ているか、話を聞いてくれる上司がいるかなどを確認します。活躍の領域では、強みを活かせる場があるか、目標と役割が見えているか、成長を実感できているかなどを重視します。

12の視点を眺めてみるだけでも、いろいろな思いが浮かんでくるのではないでしょうか。半分くらい満たされると、離職率が改善されて、リファラル採用も増えると言われています。

離職予防士の3つの活動領域と12の視点
離職予防士の12の視点が活動の土台です

これらは、離職予防士が提供するワークショップやトレーニングすべてに入っています。しかも、「働きがいアンケート」によって職場の状況を診断・可視化して、優先順位を決めて取り組むため、効果も出やすいんですよね。

研修の満足度は高いのに、損失になってしまう葛藤

新宿御苑で開催されたワークショップの様子

ストレングスコーチとして、個人の強みを扱ってきました。でも、強みを活かせる環境かどうかは、組織によります。コーチングによって本人がどれだけ自己理解を深めても、どれだけ決断して行動しても、職場の関係性や評価の仕方の前に成長実感を得られなければ、転職という選択もあるでしょう。急ぐ必要はないのですが、もどかしさはありますよね。

それに、やっぱり、クリフトンストレングスは扱いが難しいんです。自分も含めた資質の特徴を覚えるくらいなら、自社の評価項目や理念を覚えて、それに向かって何ができるのかを考える方が、よっぽど成果につながります。自分や他者の理解を楽しいと感じるのは、それだけ自分や他者の本音を聞いてこなかったという証拠なんですよ。だから、組織にそういう仕組みがあれば、イキイキと働ける人は少なからずいるんですよね。

ですが、研修の反応が良かったとしても、数日後には忘れています。自他理解に価値を感じる人は一部で、ほとんどの場合、職場の日々の言動に上がってこない。当然、業務の成果につながるどころの話ではありません。

研修の満足度は高いのだからと、割り切ってしまえばラクになっていたのかもしれませんが、どうしても、その先にある成果をあきらめきれなかったんですよね。そうでなければ、研修費も損失になってしまうから……私の、長年の手探りどころでした。

そんな私が「離職予防士」に惹かれたのは、コーチングやファシリテーションで培った「構造を見る目」「問いを立てる力」「場を整える力」などを、個人だけでなく組織に活かせると直感したからです。欠けていたパズルのピースが、ハマったような感覚でした。そこから合宿に飛び込むまでためらいがなかったのは、ストレングスコーチの資格取得のときも同じでした。〈学習欲〉×〈活発性〉×〈自己確信〉の賜物ともいう〜

離職予防士の資格で学べること

銀座で開催されたワークショップの様子

実は「離職予防士協会」として立ち上がったのは今年の2月で、まだまだ新しい組織です。ですが、離職予防士マスターであり代表の嶋田さんの実践知を、体系化された形式知に変えて学べるようにしたのが、離職予防士の認定講座。もう少し知りたい方は、公式サイトをどうぞ。

【公式】離職予防士協会
離職予防士とは | 【公式】離職予防士協会 「辞めたい」という気持ちは、ある日突然生まれるものではありません。毎日の積み重ねの中で、じわじわと育っていきます。 上司からの言葉がひっかかった日。自分の仕事が...

嶋田さんの実践知がどれくらいあるかというのは、(私は話を聞きすぎて信用しまくった結果あまり覚えていないのですが、)類を見ないレベルでSDGsを実践していて、JCでも有名な方なので、知っている方も多いのではないでしょうか。離職予防士が「誰も取り残さない」「持続可能な成果」を重視しているのは、そういう背景もあります。オモシロイくらい賛否両論のあった YouTube もありますので、嶋田さんがどんな方かを知りたい方は、こちらもどうぞ。なお、徹底的に面談の準備をしまくってから臨んだらこうなった、とのことでした。この前半もあるのですが、嶋田さんがルールをわかっていなくて、同席していた協会事務局の方もビックリしたそう。

離職予防士の挑戦。竹之内社長を「令和の虎」引退から引き止めることはできるのか? 【最後の審判 842人目[嶋田 亮]】 – YouTube

そんなわけで、離職予防士のメソッドは中小企業の現場に合わせて設計されています。診断・設計・実装・定着という流れで、伴走しながら変化を起こす。この構造は、私がコーチとしてやってきたことと地続きでした。

診断することで現状を把握でき、未来に向かって設計し、具体的に実装しながら、継続的な成果によって定着を目指す。とても地道なプロセスですが、登山道は見えています。あとは、登るだけ。登山のメタファーついでに説明すると、山を登るにも、準備が必要ですよね。まず、基本的な登山知識を得て、登山道を進んで登頂してみて、何度も登りながら、山そのものを豊かにしていって。最後のは、清掃登山をするようなイメージですね。子どものころ、親と駒ヶ岳に登ってましたねえ……

3つの資格の違いまとめ

ジュニアスタンダードプロ
立場学ぶ人提供する人変革する人
得るもの知識・概念の理解組織支援の設計図とツール組織開発の仕組みと再現性
できること自分の組織を内省する他社・自社に支援として届ける継続契約・顧問として組織改善を伴走する

ということで、それぞれの資格で学べることを紹介します。

離職予防士ジュニア

離職予防の全体構造を知り、自分の経験と結びつける段階として、離職予防士の12の視点やdマト(離職予防士協会が独自開発したタイプ診断ツール)の意味を知ることができます。資格として「離職予防士」と名乗ることはできませんが、組織に関わる人なら誰でも持っておきたい視点です。

2026年6月現在、ジュニアの資格は無料で取得することができます。離職予防士協会の公式LINEに登録すると、しばらく代表の嶋田さんからのメッセージが送られてきますので、5日間の宿題に(なるべく早めに)回答すると、伴走担当者の離職予防士からフィードバックをもらえます。その後、伴走担当の離職予防士と面談し、認定試験に進みます。

ちなみに、伴走支援できる離職予防士は限られていますが、ある程度リクエストできます。お知り合いの離職予防士を指名したり、私(コスギ・合理派系直感派)を指名することもできます。

LINEで受講する方法なので無料とはいえ、ボリュームはかなりあります。また、認定試験が終わったり、1か月以上回答がない場合は伴走も終了されるので、やるなら最後までがんばりましょう。

なお、ジュニア認定講座の内容を、ワークショップ形式で体験しながら取得したい方向けに、1日で集中的に取得できる「離職予防士ジュニア 1Day 講座」(有料)も提供しています。オンラインの場合は4時間程度、オフラインなら6時間程度(ブロックを使ったワークと対話が増えます)です。自分や相手の違いを知りながら12の視点を今の自分の支援にどう使えるか、実際に考えながら進めるので、終わったあとに動きやすい形になっています。

1Day 講座は、最小開催人数が4名です。資格を取得したい方の日程を優先したいので、30分程度 Zoom で話しながら決めませんか。

1日で一気にジュニア資格を取得したい

  • LINEだと長文が頭に入らない
  • 複数人で対話しながらワイワイ受けたい
  • 集中的に1日で効率良く取得したい

まずは無料でジュニア資格を取得したい

  • 自分のペースで空き時間に学びたい
  • LINEをパソコンで開ける環境がある
  • 一つひとつの課題をじっくり考えたい

離職予防士スタンダード

「離職予防士」という肩書きを名乗って活動できるようになるのは、このスタンダード資格を取得してからですね。離職予防士の12の視点を具体的なプロセスで、組織に提供できるようになります。以下のような感じです。

  1. 組織の状態を見立て、現場や管理職へ落とし込むノウハウ
    (12の視点を根拠としたAI分析・面談トレーニングなどのワークショップ資料)
    → 導入パッケージとして「何をどの順番でやるか」が丸ごと手に入ります
  2. 感覚ではなく再現性のある支援設計ノウハウ
    (①を含め、面談設計・対話設計を管理するツール)
    → 各トレーニングの「目指す状態」と「12の視点との対応」が明確で、クライアントへの説明根拠になります
  3. 副業・顧問案件化に向けた分析→提案→継続契約の型
    → 協会側で実績を得た内容の資料が継続的に手に入ります

パワポやエクセルなどの資料は15件を超えたあたりから数えていないんですが、それ以上に「ROOTS」というツールが良くてですね。法人伴走を支援してくれるので、データをもとに何をすれば良いかを判断できるようになっています。

個人的には、研修が苦手という方のほうが伴走支援しやすいのではないかと思っているのですが、相場として1回10万円の3時間ワークショップ(前半・後半それぞれ1回ずつ)くらいなら、すぐにできるようになります。めちゃくちゃ丁寧につくられているので、あとは場数を重ねるのみ。

先のリストで「ノウハウ?型?」と気になった方もいるかもしれません。お察しのとおりスタンダードは、ノウハウを得たら自分で動ける人向けに設計されています。つまり、すでに顧問先や研修クライアントがいる方が、そこにノウハウを追加する形で活かすのが現実的な使い方です。

なお「離職予防士スタンダードを一気に取得したい」という方は、eラーニング形式でジュニアとスタンダードの両方をセットで学ぶことができます。予定と予算が合えば合宿でも学べるので、スパルタ形式が良い方は合宿がオススメです(7月末の大阪開催は私も行きます)。

eラーニングで学びたい

  • 自分のペースで確認しながら学びたい
  • 最速で資格を取ってから行動したい
  • 課題の一つひとつにじっくり取り組みたい

2泊3日の合宿で学びたい

  • 集中的なスパルタで一気に取り組みたい
  • 同期と濃い時間を共にして仲良くなりたい
  • 聞きたいことをすぐ聞ける+αが欲しい

離職予防士プロ

スタンダードが組織支援なら、プロは組織開発です。ノウハウだけでなく、継続的な実践を通して組織を育成できるようになります。目標設定・リーダー育成・評価・採用まで関わり、年単位で組織に伴走します。実践を伴うため、取得まで半年〜1年以上かかります。

「離職予防士として活動したいけれど、ツテがない……」という方は、スタンダードとセットでプロを目指し、協会とともに動きながら案件を経験するルートもあります。

私自身はプロを目指しながら、今はスタンダードとして活動しています。プロ資格のためにも顧問先を探しているので、「モニターになってもいいよ」という企業さまはご連絡ください……!(長岡市内だと最高ですが、東京までなら旅費雑費のみでやります)

ちなみに、この上に「離職予防士マスター」がありますが、現在は代表の嶋田さんのみ。3年後くらいには目指したいんですが、3年で足りるかしら……。

離職予防士の資格取得に向いている人・向いていない人

ワークショップ後半ではチームの強みを挙げています

期待値を合わせるために、正直に書きます。

向いている人

  • 離職や組織に対しての思いが人一倍ある
  • 資格を取って終わりではなく、実際に使う前提で動ける
  • 個人支援から組織支援に活動を広げたい
  • 中小企業の経営者や管理職と話す機会がある、またはつくりたい
  • コーチ、キャリアコンサルタント、社労士、研修講師として何かしら活動している

向いていない人

  • 組織よりも個人を支援したい
  • まず資格を取得してから考えようとしている
  • 組織に入って対話を進めることへの抵抗が強い
  • 行動のイメージがないまま「いつか使うかも」で取得を考えている

知らないまま闇雲に動くのと、マイルストーンを知って動くのでは全然違います。ただ、知識を得ても行動しなければ同じこと。道具は使われて初めて意味を持ちますから。

シンプルに知りたいだけ、という方は、協会の公式LINEで学ぶか、近くで開催されるワークショップに参加してみてください。知識を得ることの楽しさは、私も知っていますし。

おわりに・離職予防士の資格のリスクや評判

静岡で開催されたワークショップの様子

そもそも、資格取得のリスクは「取得したけれど時間と費用のムダだった」と感じるかどうかが大きいです。そして資格の評判がどうなるかは、取得した人次第です。

経験上、離職予防士に限らず「自分が動けないのは資格のせい」と考える方は一定数いますが、特に離職予防士の資格は、組織に対する思いのない方には何の意味もない資格です。だからジュニア資格では、内省を促しているんですよね。それができないとドロップアウトするので、そもそもジュニアの取得もできません。

ただ、ジュニア資格を取得する中で全体像が見えない印象があったことは否めないので、個人的にはそこを補完するためにも、この記事を書きました。

私が「離職予防士」という言葉に出会えたのは、実はSNSのアルゴリズムの奇跡としか言いようのないものでした。個人を支えながら感じていた無力感に、名前と構造と道具が与えられた感じ。そこからどう動くかは、結局自分次第なんですけどね。

一旦、思考整理のためにも記事にまとめました。私と一緒に、離職予防士として活動してみませんか?

令和の虎・離職予防士ブースでの集合写真
令和の虎イベントでの集合写真
離職予防士とは何か。コーチや人事が「組織を変えたい」と感じたときに知ってほしい資格

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著者

ストレングスファインダー®を扱う Gallup 認定ストレングスコーチです。ウェブ屋でもあり、AI 活用推進派。
あなたとチームのサードパートナーでありたい。

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