はい、ごめんください。Gallup 認定ストレングスコーチのコスギです。個人の強みを、チームで活かせる状態にすることに力を入れています。
社員のみなさんにクリフトンストレングス(ストレングスファインダー)を受けてもらったあと、その結果を職場でどう使うか。ここで止まっている会社は、思ったより多いのではないかと感じています。今日は、診断や研修のその先について、私自身の実感からお話しします。
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の受検は、自分と相手の違いを知るための素晴らしい入口です。ただ、結果を見ただけで職場の関係性や働き方が変わるわけではありません。結果を活かすには、違いについて話し、働きやすさと働きがいを確かめ、行動と環境を少しずつ変えていく必要があります。私はストレングスコーチとしての経験を土台に、離職予防士として、その先の定着と組織づくりまでを支えたいと考えています。いま、その取り組みを一緒に確かめてくださる有償モニター企業を募集しています。→ 離職を予防し、働きがいのある組織へ
クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)を受けたあと
受検すると、上位の資質が並んだレポートが届きます。読んだときは、なるほど自分はこういう傾向なのかと納得できます。自分を理解したり、誰かとレポートを持ち寄って、「なるほど、確かにー!」「え〜、そんなことしてる?」と盛り上がります。これだけでも、自分や相手をお互いに認められる、大きな一歩です。
ところが、そこから先に進みにくいんですよね。よくあるのは、次のような状態です。
- レポートを一度読んで、そのまま引き出しにしまってある
- 結果は納得できたけれど、自分のTOP5はもちろん、他者の結果を忘れてしまう
- 結果を社内で共有したものの、日々の仕事での使い方までは決まっていない
- 資質の名前は覚えたけれど、役割分担や声のかけ方は前と変わっていない
これは、受けた人の意欲が足りないからではありません。診断結果は自己理解のための材料であって、それだけで職場の関係性が動きはじめる設計にはなっていない、というだけのことです。
資質を知ることと、仕事で活かすことの間には距離がある
クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)は、自己理解のツールとして有効です。私は今もその価値を信じてコーチングを続けています。一方で、資質の名前を知ることと、それを実際の仕事で活かすことの間には、思っている以上に距離があるんじゃないでしょうか。意外とプロセスが見えないというか。
たとえば、自分の上位資質が〈慎重さ〉だと分かっても、それだけでは会議での振る舞いは変わりません。相手の上位資質が〈活発性〉だと知っていても、その人が早く動きたがる理由を言葉にできなければ、すれ違いはそのまま残ります。
資質を活かせるようになるのは、自分と他者の違いをある程度理解して、その違いを言葉にできるようになってからです。これがスタートラインにも関わらず、対話の時間が必要になります。当然、レポートを配って終わりにすると、手前で止まってしまうんですよね。〈学習欲〉や〈最上志向〉が高い方は、自分で深める事が多いのですが。
じゃあ、資質の理解を深めるための研修をすればいいかというと、そうとも限りません。
研修の満足度が高くても、職場が変わるとは限らない
事実、クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)の研修は、普通に楽しいです。これまで実施してきたストレングス研修の総合満足度で、5段階中4未満になったことはありません。それくらい、受講直後のアンケートは高い点がつきます。満足度だけは、高いんです。
ですが、しばらくして実際の現場を見ると、仕事の進め方も関係性も以前となんら変わっていない。そういう場面に何度も出会ってきました。研修講師なんてそんなもんだよと言われたこともありますが、私自身は、それでいいと割り切ることはできませんでした。
研修の効果を測れるモデルは、70年以上前にある
実は研修には、「カークパトリックモデル」という4段階の考え方がよく使われています。1950年代にドナルド・カークパトリックが提唱したものです。

しかし、このモデルは長く使われるうちに、多くの現場で満足度と理解度までしか測られなくなっていきました。研修後のアンケートで高い点がつくのは、たいてい最初の「反応」や「学習」の段階です。そのあとの現場の行動が変わったか、成果につながったかまでは確かめられない。そもそも、確かめにくい。だから「研修は、必ずしも成果につながらなくてもいい」という時代は、長かったようです。個人的には、定着より採用が重視されているのも、似たような構造なのかなと思ったり。
そこで、息子のジム・カークパトリックとウェンディ・カークパトリックが、この4段階を土台に改訂したのが、ニューワールド・カークパトリックモデル(New World Kirkpatrick Model)です。なぜ「New」ではなく「New World」なのかというと、組織のパラダイムシフトを意図した「研修と評価の役割に対する新しい世界観(new world view)」への移行を示しているからだそう。2010年頃から始まったものです。それでも15年以上前……

従来のモデルと、改訂版で加わった視点を並べると、次のようになります。4段階そのものは変わらず、それぞれの段階に見るところが足され、設計の順番と担当の役割が更新されました。
| 観点 | 従来のカークパトリックモデル | ニューワールド版 |
|---|---|---|
| 提唱者 | ドナルド・カークパトリック | ジム/ウェンディ・カークパトリック |
| レベル1:反応 | 満足したか | 加えて、関与・関連性も見る |
| レベル2:学習 | 知識・技能・態度が身についたか | 加えて、自信・意欲も見る |
| レベル3:行動 | 学んだことを現場で実践したか | 重要な行動・後押しの仕組み・現場での学びに分けて見る |
| レベル4:結果 | 組織の成果につながったか | 成果の手前の兆し(先行指標)で早めに確認する |
| 設計の順番 | 反応(レベル1)から順に積み上げる | 成果(レベル4)から逆算して設計する |
| 研修講師の役割 | 研修を実施し評価する | 職場の仕組みまで関わる事業のパートナー |
改訂版で大事にされているのは、大きく2つの考え方です。
- 先に届けたい成果(レベル4の結果)を決めて、逆算して研修を設計することが重要
- 学んだことが現場の行動に変わるには、研修そのものだけでは足りず、職場での後押しが必要
振り返りや努力を認め合う仕組みといった、行動を支える要素(Monitor and Adjust:伴走と調整)を職場側に用意して、はじめて学びが実践に変わっていきます。「学習」の段階でも、知識や技能だけでなく、やれそうだという「自信」と、やってみようという「意欲」までを見るようになっているのも、特徴的ですね。研修ではなく、人を見ている。
研修で学んだことを活かせるかは、その後の職場にも左右される
研修で理解したことが、そのまま職場での行動に変わるとは限りません。
- 新しく学んだことを試す機会があるか
- 上司や同僚と振り返ることができるか
- これまでと違う行動をしても受け入れてもらえるか
- 仕事の進め方を変えられるだけの裁量があるか
研修後の実践には、こうした職場の環境が関係します。
振り返ってみると、私がこれまで行ってきた研修では、資質への理解や、互いの違いについて話し合うところまではおこなっていました。その点の満足度は本当に高くて、「こんなふうに話したことなかった、とてもよい機会になった」という感想が多かったです。
しかし一方で、研修後にどのような対話を続けるのか、役割や仕事の進め方をどう変えるのか、上司や同僚がどのように支えるのかといった、日常の職場環境には十分に関わることができていませんでした。「あとはこちらでがんばってみます」という顔を、何度見送ったことか……
これは私の研修設計が、理解して話し合うところまで(レベル2)で止まり、その先の行動や組織の変化(レベル3以上)まで設計できていなかったためだと、今なら思います。これはレベル1から積み上げていったやり方で、多くの研修で採られがちな設計思想ですが、私が目指したかったのは、レベル4からの設計でした。ですが、それはもう、研修という枠にはハマらないんですよね。
そして、これを体系的にやっているのが、離職予防士です。確信したのは、これを書いている今なんですが。ビックリした。
離職予防士は、組織の発展という成果から逆算している
カークパトリックモデルにおけるレベル4は「結果」ですが、単なる研修の成果ではなく、組織全体の目的と使命をから定めよと言われています。研修の成果から考えたら、それはレベル1から考えるのと同じことなので。この「最高レベルの結果(highest-level results)」は、
「これは、組織が実行・提供・貢献するために存在しているものか?」
という問いに答えられるものでなくてはなりません。MVVが決まっていると考えやすいですね。離職予防士のミッションは、シンプルなんですよ。
「救え」
見過ごすな、気づけ、動け。
辞めたい社員だけではなく、抱え込む管理職も、追い詰められた経営者も、それぞれの立場で孤独を抱えています。離職予防士は、すべての当事者に寄り添い、組織そのものを救う存在です。
余談ですが、個人的には「救え」ってどれだけ上から目線なんだろうと正直思ったんですが、これは「絶対に見過ごさない」の裏返しなんですよね。実際に離職者が出続けている職場って、血が止まらないのと同じですから、死んでしまう。だから予防が絶対に必要という強さの表れ。閑話休題。
カークパトリックモデルでも、この目的を達成するには長い期間が必要だから、先行指標(Leading Indicators)を併せて決めておこうと伝えています。離職予防士は、eNPS や定着意思など、さまざまな指標から分析するための「働きがいアンケート」を開発しており、その結果を受けてトレーニングの優先度を決められるので、最初から現場での適切な仕組みづくりが盛り込まれています。
人を大切にしたい会社ほど、社内であれこれ考えていたのではないでしょうか。ですが、研修を成果まで持っていくのは、相当大変だったはずです。レベル1からやっていたわけですし。私としても、クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)の研修だけではレベル4から考えることができていなかったので、離職予防士のカリキュラムによって、ずっと抱えていた違和感の答えを得た気持ちでした。
もちろん、知っただけで終わるものではなく、お互いにパートナーとして働きがいのある職場に変えるため、行動し続ける努力が必要になります。その道のりは平坦ではないものの、最後まで、喜怒哀楽を全部飲み込んで進んでいくと決めることを、覚悟というのかもしれませんね。
ただ、最初からそんな大きな決断ができる方は、すでに素晴らしい職場をつくっているはずですから、迷っている方のほうが多いのでしょう。ストレングスコーチの離職予防士としては、そういう経営層のチカラになりたいです。離職予防士のdマトは手軽で良いのですが、マネージャー職以上は、クリフトンストレングスを一度受けていただきたい。
「コスギの情熱はわかったけど、そんなに離職予防士のやってることって体系的にわかるものなの?」と感じた方は、以下をどうぞ。呼ばれればどこにでも行きますし、他県に離職予防士もいるので、近くの方を紹介しますよ。
お知らせ:9月28日(月) にデモを体験できます
「採用×定着コラボセミナー」として、私のパートでは、楽しみながら参加できるワークと、働きがいアンケートのデモを体験できます。会場はアオーレ長岡の会議室A(アリーナの奥の方)、参加無料です。

このセミナーで得られるもの
- 中小企業でも応募を集めるための、効果的な求人の考え方
- 採用時の伝え方と、入社後の定着がつながっている理由
- 人を合う・合わないで判断せず、一人ひとりの違いを見る考え方
- 職場の強みや離職につながる兆候を捉える方法
- 人が集まり、辞めずに活躍できる会社づくりの全体像 など
離職予防士のプログラムの有償モニターも募集していますが、まずはこういったワークショップセミナーに参加していただくことをオススメしています。お声がけいただければ実施します(基本的にオープンセミナー、クローズの場合は要相談)ので、ご相談ください。
クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)の結果を、働きがいのある職場につなげるには
クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)で自分や他者の違いを知ることは、職場づくりのよい入口です。ただ、診断結果を知るだけで、働き方や関係性がすぐに変わるわけではありません。結果を職場で活かすには、互いの違いについて話し、働きやすさと働きがいを確かめ、実際の行動や環境を少しずつ変えていく必要があります。
それ以上に、組織として何を目指すのか。どんな指標をどうしたいのか。それがクリフトンストレングスの先にあるのなら、いかようにも活用できます。ですが、そのプロセスが見えにくいのなら、離職予防士のプログラムが羅針盤になり得ます。
私は、ストレングスコーチとしての経験を土台に、離職予防士として、選ばれる続ける職場への定着を支えたいと考えています。クリフトンストレングスの診断結果や研修を、職場の変化から考えたい。そう感じている方のお話を伺いたい。
だいじなのは、クリフトンストレングスを「職場の変化につなげる」のではなく、「職場の変化から考え直す」こと。強みを活かし合う関係性は、要素のひとつでしかありません。あまり言葉になってなくても、まずは思いを聞かせてください。

