目次
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の以下の特徴と、他の診断ツールとの比較をまとめました。
「強みに基づく心理学の父」と呼ばれるドン・クリフトン博士による大規模調査で抽出した「思考・感情・行動の自然なパターン(才能)」を34の資質で測定するものです 。日常の行動や職場での成果に直結する開発ツールとして設計されています。「どのように物事を成し遂げるか」を言語化するのに役立ちます。
信頼性 Gallup の統計調査に基づいており、再受験での一貫性も高く、組織開発や人材育成の現場での妥当性が検証されています。
価格 有償です。2,500円くらいの書籍が最安です。
再受験 「初回の結果が最も純粋で信頼できる」とされています。
下位の扱い方 普段は使わないパターンなので、上位の結果に注目して伸ばすことが推奨されています。
VIA診断とは、どう違うのですか?
VIA診断は「価値観」の強み を、ストレングスファインダーは「日常的なパターン」の強み がわかります。
心理学者マーティン・セリグマンらが提唱したポジティブ心理学を背景にしたツールで、「人間的美徳」や「性格的強み」を24分類で測定するものです 。知恵・勇気・正義・節制など、人格や価値観に結びつく「徳性」を扱うのが特徴です。「何を大切にして生きているか」を言語化するのに役立ちます。
信頼性 国際ポジティブ心理学会による心理学的理論(美徳の普遍モデル)に基づき、自己理解や幸福感の向上を目的としており、研究的裏づけが豊富です。
価格 無料から受けられます。順位のポイントを知りたいときは、19ドルからTOP5レポートを購入できます。
再受験 特に制限するものではありません。
下位の扱い方 24の徳性すべては行動によって発揮できると考えられているため、自分が望む価値観を選ぶことができます。
今の自分の価値観や方向性を確認したいときはVIA診断、長期的なキャリア開発や強みを育てたいときはストレングスファインダーが適していると言えますが、厳密に分けられるものではありません。
どちらも信頼性のある診断なので、両方の結果を組み合わせると「なぜそれが得意なのか」「なぜそれを大切にするのか」という深い自己認識につながります。
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How Do CliftonStrengths and the VIA Survey Compare?
Learn more about the VIA Survey of Character Strengths and VIA Character Theory, and how these compare with the CliftonStrengths assessment.
エニアグラム診断とは、どう違うのですか?
エニアグラム診断は「動機や性格タイプ」の強み を、ストレングスファインダーは「日常的なパターン」の強み がわかります。
エニアグラムは古くから使われている性格理論に基づいたツールで、9つの基本タイプに人の行動や思考のパターンを分類します。各タイプは「何に突き動かされて行動しているのか」という内的動機や恐れを明らかにするのが特徴 で、人間関係や自己理解に幅広く活用されています。
信頼性 長い歴史を持ち、カウンセリングや自己探求の分野で広く用いられてきました。ただし、理論の複雑さと測定の難しさ、そして起源が不明瞭であるため、科学的な研究は発展途上とされています。
価格 代表的な Riso-Hudson Enneagram Type Indicator(RHETI)は有料(約12〜20ドル)。無料の簡易版テストも存在するようです。
再受験 人生経験や環境によって自己認識が変化しやすく、再受験で異なる結果が出ることがあります。
下位の扱い方 人は1つのタイプに固定されるわけではなく、複数タイプの影響を受けることがあります。下位を「弱み」とはせず、成長の方向性を示す補足的な情報として扱われます。
エニアグラムは自分の内的動機や行動パターンを理解したり、人間関係の背景にある「なぜ」を探りたいときに適しているため、「なぜ自分はそう動機づけられるのか」という観点から、個人の成長や自己探求のために活用するとよいのではないでしょうか。個人的に、エニアグラムは奥深さに魅了されている割とマニアックな方が多い印象です。
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How Do CliftonStrengths and the Enneagram Test Compare?
Learn about the Enneagram of Personality Theory -- its roots, personality types, and assessment, and how it compares with CliftonStrengths.
MBTI(マイヤーズ・ブリッグス)診断とは、どう違うのですか?
MBTI は「心理的傾向・タイプ」の理解 を、ストレングスファインダーは「日常的なパターン」の強み がわかります。
なお、MBTI はよく 16 Personalities と誤認されやすいですが、16 Personalities は MBTI 理論よりもビッグファイブ理論を再構築した NERIS モデルであると、公式サイトで言及されています 。
Myers-Briggs Type Indicator(MBTI)は、ユングの心理学理論に基づくツールで、外向(E)/内向(I)、感覚(S)/直観(N)、思考(T)/感情(F)、判断(J)/知覚(P)の4軸から、16タイプの性格タイプを分類します 。個人がどのようにエネルギーを得て情報を処理し、意思決定し、外界に対応するかという心理的傾向を示すのが特徴です。
信頼性 再現性や妥当性について Gallup の記事には言及されていませんが、一般的に、科学的根拠には疑問が残るものの、自己理解のための実用性はあるとされているようです。
価格 MBTI 公式版は有料ですが、形式や提供者により価格が異なるようです。
再受験 人生経験や環境によって自己認識が変化しやすく、再受験で異なる結果が出ることがあります。
下位の扱い方 ひとつのタイプに固定せず、両面の傾向(例えば外向と内向のバランス)を考えることが重要とされています。
以下の記事では、一部の資質と MBTI の心理的指向との間には一定の傾向があることが確認されていますが、そもそも変化するために、具体的な活用については懐疑的な印象です。一定の相関関係があるのであれば、ストレングスファインダーで包括できるのではないかなと、個人的には思う次第です。
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How Do CliftonStrengths and MBTI® (Myers-Briggs®) Compare?
Learn about MBTI (also known as Myers-Briggs) and its 16 personality types, and how they compare with CliftonStrengths.
DiSC 診断とは、どう違うのですか?
DiSC 診断は「行動スタイル(状況に応じた振る舞い)」の強み を、ストレングスファインダーは「日常的なパターン(才能)」の強み がわかります。
DiSC は1930年代にウィリアム・マーストン博士によって提唱された理論に基づくツールで、主導型/感化型/安定型/慎重型という4つの行動スタイルで人を分類します。特に対人場面における振る舞いの傾向を理解しやすいよう設計されていて、「自分がどう振る舞うか」を示す行動指向のモデル です。
信頼性 心理測定学的な観点から一定の信頼性を示しており、5,000 万人以上が DiSC 評価を受けているようです。そのわかりやすさから複数の企業でも導入されているようですが、状態によって変わる可能性が示唆されており、単独で扱うには科学的根拠が弱いようです。
価格 提供形式やベンダーによって異なり、幅広いバリエーションが存在するようです(Everything DiSC など職種や目的別のレポートなど多数)。
再受験 DiSC は場面依存のため、受験の度に異なるスタイルになることがあります。
下位の扱い方 4つのスタイルの中でどれが強く現れるかを見るモデルで、下位のスタイルは「普段使わない行動傾向」として参考にされます。
科学的根拠はともかく、コミュニケーションを理解するツールとして重宝されています。
DiSCは「どう振る舞うか(行動傾向)」を、ストレングスファインダーは「どう考え・感じ・行動する才能の傾向」を示すため、両者を組み合わせると、行動のスタイル理解と、その背景にある才能理解の両輪で自己やチームをより深く理解できる ようになります。
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How Do CliftonStrengths and the DiSC Assessment Compare?
Learn more about DiSC Theory and the DiSC assessment, including a brief historical review, and how these compare with CliftonStrengths.
ビッグファイブ(Big Five)とは、どう違うのですか?
ビッグファイブは「人格を構成する基本的な性格特性」 を、ストレングスファインダーは「日常的なパターン(才能)」の強み がわかります。心理学研究における性格構造の標準モデルとして確立されており、多くの心理学研究で使われています(標準的なモデルとして理論的裏づけあり)。
ビッグファイブは現代の人格心理学で最も広く受け入れられている性格理論で、数十年にわたる実証研究の蓄積から生まれたものです。5つの因子(外向性、誠実性、開放性、協調性、神経症傾向)によって測定する統計的手法として、科学的根拠の強さが知られています。
信頼性 心理学的研究において高い信頼性と妥当性を持つモデルです(再現性・妥当性共に検証が豊富)。
価格 一般的なビッグファイブ診断の多くは、無料または安価で受検可能です(ちょっと検索すると広告だらけの無料診断が結構あります……)
再受験 安定した性格特性を測定するため、再受験しても結果は比較的一貫しているようです。
下位の扱い方 5因子それぞれについてスコアで示すため、下位因子を「弱み」とはせず、性格的傾向としてのバランスを俯瞰できます。
そもそも、ビッグファイブ理論における「性格」は、5つの因子の傾向を示したもので、個人の感情や行動の傾向を把握するのに役立つため、ストレングスファインダーとよく似ていますね。
少し古いですが、「ストレングスファインダーが性格テストの単なる代替かどうか」「どの程度重複するのか」を確認することを目的とした2005年の Gallup のテクニカルレポート によると、実際にストレングスファインダーとビッグファイブとの相関は一部認められるようです。
〈規律性〉↔ Conscientiousness(誠実性) r = 0.81 →〈規律性〉の高い人は、誠実性(計画性・責任感・自己管理力)が非常に高い傾向。
〈社交性〉↔ Extraversion(外向性) r = 0.83 → 〈社交性〉の高い人は、外向的で社交的な傾向が強い。
〈着想〉↔ Openness(開放性) r = 0.70 → 〈着想〉の高い人は、新しい経験やアイデアに開放的で好奇心が強い。
〈共感性〉↔ Agreeableness(協調性) r = 0.51 → 〈共感性〉の高い人は、思いやりや協調性も比較的高い。
Big Fiveの「Neuroticism(神経症傾向)」は、多くのストレングスファインダーの資質と負の相関を示しやすい。 →〈自己確信〉や〈ポジティブ〉は逆相関。
〈規律性〉や〈社交性〉のように高い相関を示すものもあり、他の資質についてもだいらい仮説どおりだそうですが、完全にその概念に吸収されるものではないということです。
そのため代替するよりも、ビッグファイブで行動傾向を把握しつつ、ストレングスファインダーで具体的な行動を補完しながら実践を促すのがベストな併用の仕方と言えそうです。
さまざまな診断ツールを具体的に活かせるストレングスファインダー(クリフトンストレングス)は診断するだけでなく、コーチングと実践によって「可能性を能力に育てる」ことが重要です。まずは資質理解から試してみませんか?
よくある質問集