はい、ごめんください。Gallup認定ストレングスコーチの小杉です。
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の結果を知ったとしても「強みはちょっとギラギラする……」と感じる方は、「むしろ弱みを知りたい」と感じることでしょう。陰キャにとって、陽キャは眩しすぎるんじゃよ……
実は、ストレングスファインダーで “弱み” もわかります。今回はそんなお話です。
ストレングスファインダーでわかる “弱み” とは
そもそも、“弱み” とはなんでしょう?漠然と「なんとかしなければならないもの」と感じているかもしれませんが、ストレングスファインダーの文脈で考えられる “弱み” に該当するものは、3種類あると考えられます。
下位資質からくる “弱み”
TOP5は強みと言われているので、34資質すべてを開いたときに下位資質を見て、「これが自分の弱みか〜……確かに、苦手だもんなあ」と思う方は少なくありません。というか、めっちゃいます。私もそうでした。
今のレポートはランキングのみですが、初期のストレングスファインダーにはランキングの根拠となるポイントが表示されていたそうです(ちなみに、価値観としての強みを無料で診断できるVIAにはポイントが表示されています)。
そのポイント、下位資質(30位以下)に至ってはほぼゼロらしいんですよね。つまり、本人にとってはどうでもいいことが下がるのです。改めて下位資質の特徴を考えてみると、「そもそも、概念がよくわからない」「理解はできるけど、普段は考えることがない」「むしろ考えたいとも思わない」ことが多いのではないでしょうか。
ですから、下位資質をなんとかしようとしても、本人にその気がない(どうでもいいし概念すらわかっていないこともある)ため、苦手意識だけが残ります。
では、この苦手意識を感じる下位資質が “弱み” かというと、「実はそんなに困っていない」ことが多いのです。
たとえば、下位になりやすい資質に〈競争性〉があります。
1位を目指して勝つためのモチベーションによって、さまざまなモノゴトを達成&評価される才能ですが、下位資質だった場合、1位に固執することがありません。環境的に1位であることを強要されるのでなければ、〈競争性〉が下位にあったとしても、何の問題もないのです。もし1位になることを求められたとしても、上位資質で対応することはできますし、環境を変えることもできます。
もし、「とはいっても、この資質が下位にあるのはヤバいんじゃない……?」と思うフシがあるのなら、以下の記事を参考にしてください。
上位資質は、次に説明する「上位資質の短所」もセットになりますから、下位の資質が持つ長所としての結果は、上位資質の組み合わせを使ったほうが圧倒的にラクなんです。
上位資質の持つ二面性からくる “弱み”
一般的に言われている “弱み” は、上位資質の二面性によって発揮される短所ではないでしょうか。長所と短所は表裏一体っていいますもんね。
※公式では「長所」や「短所」とは言いませんが、弊社では表裏一体のものとしてわかりやすいために使っています
- 長所
Gallupでは「Help(助けになるもの)」と言われています。昔は「Balcony(バルコニー)」と言われていたのですが、わかりにくいようで、変わったようです。個人的には、資質を長所使いできているときは “カラッ” とした感覚があるので、太陽に照らされている「バルコニー」のほうがわかりやすいんですけども。日本だと屋根のある「ベランダ」のほうが馴染みやすいでしょうか。
- 短所
Gallupでは「Hinder(妨げになるもの)」と言われています。こちらも昔は「Basement(ベースメント)」と言われていたのですが、バルコニー同様、資質が短所使いされているときは “ジメッ” とした感覚があるので、「地下室」という名称はわかりやすいんですけどね。地下室のある国は、そんなに多くないかもしれません。
短所、つまり資質が「Hinder(妨げになるもの)」として発揮されてしまうと、“弱み” と認識しやすいです。
たとえば、〈最上志向〉で考えてみましょう(34資質の中でも特に複雑な才能なので、以下は一部です)。
- 〈最上志向〉のHelp(長所)の例
取り組むと決めたことに対して「やるからにはしっかりやりたい」と、本気で取り組みます。そのため、平均以上の成果を上げることが多く、「もっともっと」と改善する向上心もあるため、やればやるほど洗練されていきます。
- 〈最上志向〉のHinder(短所)の例
自分にも他人にも厳しく、特に期待している相手は「磨けば光る」と厳しく当たるため誤解されがちです。好き嫌いがハッキリしており、嫌いなことには目を背けて葛藤することも多いです。
〈最上志向〉を長所(Help)として発揮できていると、自分が得意な分野でより良い成果を出し続けることができます。ただし、本人は平均以上程度では満足できないですし、満足したら終わりだと思っているフシもあるため、「もっともっと」が暴走すると自分や他者を否定し始めてしまい、短所(Hinder)になりやすいのです。シンプルにもったいないですよね。
できるだけ長所を発揮できるようにするためには、才能の「オトナ使い」と「コドモ使い」がポイントです。
- オトナ使い
Gallupでは「成熟した才能(Mature)」と言われています。熟成されたワインを「マチュア」「マトゥア」と呼んだり、50歳からの世代を「マチュア世代」と呼んだりもするそうです。「自らをわきまえた大人」というイメージですよね。自らの資質を俯瞰して、他者や環境に応じて自分の資質をマネジメントできる状態です。
- コドモ使い
Gallupでは「未熟な才能(Raw)」と言われています。ワインだと「フレッシュ」かなと思うかもしれませんが、新鮮というよりも「何も手をかけていない状態」を指します。むしろワインになる前のブドウですね。自己認識力が低いため、自らの資質を意識できず、他者や環境に反応する才能に振り回されている状態です。
ストレングスファインダーの結果は、“強み” ではなく “才能” でしかありません。得られた結果を意識してオトナ使いしていくことで、“強み” として発揮できるようになっていくのです。
ストレングスコーチは、その立場上、才能のオトナ使いのお手本のようになっていきます。日々才能を磨くため、長所はもちろん、強みとして発揮されることが多くなります。とはいっても、短所が出てこないというわけではなく、落ち込んでもすぐに回復できるようになるのが「オトナ使い」です。ストレングスコーチも凹みます。にんげんだもの。
ちなみに、ストレングスファインダーの思想は結構ドライ(?)で、「組織にストレングスファインダーを導入すれば、強制的にお互いの強さも弱さも共有できるのだから、メンバー同士で認めあって生産性を高めたらええやん」という感じ。実際、弱い部分を共有することは、信頼関係の形成に大きく影響します。とはいえ、四の五の言わずに脱げ、みたいな圧が苦手な方も多いでしょう。相手を信頼できていないと尚更です。ストレングスファインダーは強力な分、心の準備ができていないと難しいことは意識しておきたいですね。
生来的に難しい “弱み”
ストレングスファインダーも万能ではないため、資質では語れない分野もあります。
たとえば、私(コスギ)は他者の名前と顔を一致させるのが難しく、1年くらい一緒に活動していないと忘れてしまいます。存在は覚えているのですが、名前が出てきません。これを病的と言って良いのかはわかりませんが、人を覚えるのが本当に苦手です。一時期、「〈個別化〉が高くないからかな?」と思ったこともありましたが、〈個別化〉の高い方にも同様のことがあるらしいので、資質では語れないですね。
他にも、さまざまな障害や、ホルモンバランスの崩れ、気圧による体調の変化などもあるでしょう。これはもう、人間である以上避けられない「個人の事情」です。
ですが、「自分にはこういう傾向がある」と知っておくと、対処しやすいですよね。私も Facebook で友達申請するなどして、あとから確認できるようにしてあります。突然話しかけられてもわからないリスクはありますが、あきらめました笑
資質で語れない “弱み” は、実は上位資質でなんとか対処しているものです。
ですから、“弱み” に目を向けないのではなく、“弱み” に対して「自分はこうやって対処してきたなあ」と考えてみてください。それが “強み” の源です。“弱み” に目を向けないのは、才能の「コドモ使い」につながりますしね。
まとめ
ということで結論は、「上位資質が暴走すると “弱み” になりやすい」です。
才能を「コドモ使い」しているままだと、才能に振り回されて暴走しやすくなります。これまで自分を振り返ってこなかった場合は、自己理解や自己認識に抵抗があるかもしれません。ですが、自分の多様性を認めることは、他者の多様性を認めることにつながります。
とはいえ、「オトナ使い」をしていくか「コドモ使い」のままでいるのかは本人次第ですし、組織やチームにストレングスファインダーを導入したいのなら、全員が共通の目的に向かって「オトナ使い」を目指す必要があります。
ストレングスファインダーは万能ではないし、時間もかかるために現実は結構シビアですが、ストレングスコーチとしては、才能が日の目を見ないのは「世界の損失」だとも思っています。
もういい加減、弱みに囚われるのはやめたいと思っていたら、一度コーチングを受けてみてください。資質がどのように動いているのか、本当はどうしたいのか、一緒に確認してみませんか。
\ 資質の特徴から紐解くのでわかりやすい /