はい、ごめんください。Gallup 認定ストレングスコーチのコスギです。
今回は VIA 性格診断で「知恵(Wisdom)」のカテゴリーに属する徳性、〈好奇心(Curiosity)〉の解説です。クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)の〈学習欲〉にも似ている強みなので、その違いも扱いますね。

〈好奇心(Curiosity)〉とは
VIA 性格診断で「知恵(Wisdom)」のカテゴリーに属し、新しいモノゴト(経験や体験、知識や情報など何でも)に対して積極的に興味を持ち、「えっ、どういうこと?」「もっと知りたい!」と、問いが湧き出す性格的な強み(徳性)です。
単なる情報収集だけでなく、知ることの喜び、学ぶこと自体の価値を重視しています。自然に問いが生まれ、未知の分野に足を踏み入れることを恐れません。知らないことに身を投じる、旅人に近いかもしれませんね。もしくはワクワクさんかな。
〈好奇心〉の特長は、外的な報酬や成果よりも、探求そのものに価値を見出すことにあります。たとえば、新しいレストランに行く、知らない町を訪れる、初対面の人から話を聞く、オンラインで調べ物をするといった日常的な探求行動そのものが人生を豊かにし、継続的な成長の原動力そのものです。
こういった〈好奇心〉を活かすのであれば、日常の中で「これってどういうこと?」と、ちょっとだけ立ち止まってみましょう。探求は違和感から始まります。
〈好奇心(Curiosity)〉の長所と短所
長所は「最適に使用できているとき(Optimal-Use/Golden mean=黄金律)」で、性格的な強みをバランスよく適切に発揮できている状態です。先述のように、〈好奇心〉を発揮すると、学習による継続的な成長をもたらします。変化を価値にできる力ですね。
※カエルコムニスでは、これを「善用(最善に活用できること)」と表現しています。
しかし「使いすぎ(過剰利用:Overuse)」ると短所になり、「使わなすぎ(利用不足:Underuse)」ると自信喪失につながります。これをまとめると、以下のようになります。
※カエルコムニスでは、この状態を「暴走」/「沈黙」と表現しています。
沈黙
陳腐
つまらないと感じ
興味を持てない
善用
発見
知らないことは
素直に驚く
暴走
野次馬
詮索や噂好きで
情報に踊らされる
〈好奇心〉を善用すると長所になる
自分が〈好奇心〉を善用しているとき=「素直に驚き、ワクワクしながら行動しているとき」を振り返ってみましょう。これは、〈好奇心〉の強みが高くても低くても、必ずあります。高い人は、その頻度が多く、更にその行動をしているときが「自分らしい」と感じやすい違いがあるだけです。エブリデイワクワク。
個人やチームにかかわらず、日常的にこんなことをしているなら〈好奇心〉を善用していると言えます。
- 気になる情報や体験に出会ったときに、前のめりにワクワクする
- 自分が話すよりも質問するほうが好きで、いつの間にか仲良くなっている
- 新しいことに挑戦するとき、自分の可能性が広がっていると実感する
- 日常的な疑問を調べることが習慣になり、聞かれてもすぐに答えられる
- 旅が好きだし、旅先で知らない人から話を聞くのも好き
- 新商品はすぐに試して、なるべく偏見のない感想をSNSにポストする ……など
こういったシーンを思い出せたら、いつ・どこで・誰と・何をしていたのかを具体的に挙げてみましょう。〈好奇心〉を長所として使いやすいトリガーやパターンが見えてきます。
私は VIA を知ってから、最近までずっと〈好奇心〉が1位でした。今までを振り返ったとき、子どもの頃から冒険が大好きでした。「戻れるとしたら、いつの時代に戻りたい?」という問いで「小学生時代」と即答するほど、ワクワクにあふれた毎日を送っていたことを思い出します。山で鳥の声や川の音に耳を澄ませたりするのも好きでしたし、近くの野原で秘密基地づくりとか大好きでしたね。私は自然の中にいるほうが〈好奇心〉を発揮できそうです。
〈好奇心〉が暴走すると短所になる
〈好奇心〉が暴走して制御を失うと、「乱用」してすぐに飽きたり、「誤用」して配慮を忘れたりするようなパターンが起こりやすくなります。
乱用:強みを目的以上に、過度に発揮してしまう例
- 興味が次々と移り変わり、飽きて継続できない
- 情報収集に時間をかけすぎて、肝心の行動や決断が遅れてしまう
- SNSを見ていないと落ち着かなくなる
誤用:強みが効果的でない場面で使ってしまう例
- 質問攻めにして相手を困らせてしまう
- プライバシーや境界線を無視した詮索をしてしまう
- 偏見が入っていたり曖昧なままの情報で物事を進めようとしてしまう
振り返ると気づくことばかりですが、暴走しているときは気づかないことが多いので、周囲のフィードバックを学びにして何が起きているのか、望ましい状態に向かって何が必要なのかを学びに役立てるのもイイですね。
善用は「バランスを取ってイイカンジに使う」ことなので、他の強みも合わせてバランスよく成長させていきましょ。
〈好奇心〉を沈黙させずに活かすには
「使わなすぎ(沈黙)」というのは、〈好奇心〉の価値観を高く持っているにも関わらず、行動できていない状態です。たとえば、ワクワクした毎日を過ごしたいのに、日課に追われてどうにもつまらないと感じているケース。つまらないから刺激を求めてSNSを眺めて毎日を過ごすけれど、行動が変わらないので何も変わらない、みたいな。どんどん自分が灰色になっていくのを自覚すると、ゾッとするし焦りますよね。
〈好奇心〉を健全に活用するには、小さな謎や違和感に気づくこと。「ん?コレとコレは何が違うの?」と、違いに興味を持つこともいいですね。ふだん何気なく対応していることでも、違いがあるだけで情報が立体的になります。こういった「気づき」が習慣化すると、〈好奇心〉が高まっていきます。
強みを活かすために時間を取ることはすべての VIA の強みに通じますから、価値観に合うことをしているほうが楽しいわけですよ。
- 「今日気になったこと」を毎日見つける → 問いをつくる習慣
- 通勤中に気になった看板の企業について調べる → 移動時間を学習の機会にする
- 会議で出た専門用語の意味を確認する → 積極的に仕事関連の学習を深める
- 同僚の趣味について質問してみる → 新しい側面を知ることで関係性を深める
- オフラインで実技を学べる資格を取得する → 実用的な学びに全身で没頭する
自分の上位5位の強み(シグネチャーストレングス)もAIに入れて、ワクワクしたものをタイミングを逃さずやってみるのがオススメ。VIA は「Values in Action」、行動してなんぼですから。
〈好奇心(Curiosity)〉に似ている強みの違いと掛け合わせ
特に混同しやすいのが〈向学心(Love of Learning)〉ですね。もうひとつ、ワクワクという点で似ている〈ユーモア(Humor)〉との違いも挙げておきます。
〈向学心(Love of Learning)〉×〈好奇心〉
〈好奇心〉は新しい情報を求め、知らないことを知るために行動する原動力であるのに対し、〈向学心〉は、これまでに得た情報を更に突き詰めて深めるために行動する原動力です。
つまり〈好奇心〉は「広さ」、〈向学心〉は「深さ」という違いが明確にあります。浅いか狭いかは別。旅人と博士くらい違う印象です。
この2つを掛け合わせると業界内外の情報を専門性に関連づけるため、自らの専門領域に足を運んでレポートする探検家みたいな感じになりますね。研究室にいない教授っていらっしゃるじゃないですか。← 一応専攻は地学(気象学)でした
〈ユーモア(Humor)〉×〈好奇心〉
〈ユーモア〉は超越性のカテゴリに属し、状況からオモシロイことを見つけて共有します。無駄を楽しみ心の余裕をつくり、心理的距離感を縮めるチカラ。クリフトンストレングスでいえば〈着想〉×〈ポジティブ〉×〈社交性〉のようなイメージです。
〈好奇心〉が「興味深い面白さ(Interest)」であるのに対し、〈ユーモア〉は「笑える面白さ(Funny)」であるため、面白さの質も違いますね。
この2つを掛け合わせると、学びのプロセスに笑いが生まれ、困難すらも楽しみながら、周りの人も巻き込んだ探求の場が生まれます。わからないことを気軽に相談しあい、楽しく成長できる場をつくれることでしょう。おそらく、学びを心から楽しんでいるのではないでしょうか。
クリフトンストレングスとの掛け合わせ例
〈好奇心〉は「関心によってワクワクを見出す在り方」などと覚えておくと、自分らしい上位資質の使い方が見えてきます。似た資質と、異なる領域の資質との掛け合わせを挙げてみましょう。
〈学習欲〉×〈好奇心〉(Learner × Curiosity)
→ 経験学習のサイクルを自ら回してすべてを糧に成長する
クリフトンストレングスの〈学習欲〉は「学びのプロセスを楽しむ」才能で、VIA の〈好奇心〉は「ワクワクに突き動かされる行動」に価値を置きます。似た特性を持つこの掛け合わせによって、どんなことでも学びに転換してワクワクしながら探求し成長していきます。
「他の分野との関連は?」「競合はどうしてる?」「この用語はよくわかってないから調べよう」と、気になったことは広く体系的に学び、実際に試した結果から更に「これの要因は何だったんだろう」「こっちの知識もあると理解が深まりそう」と、情報を整理しながら更に横展開していくこともあるでしょう。
チームに一人いると、仮説検証と原因分析のサイクルを担ってくれる存在になります。ただし、放っておくと個人的な興味を優先しやすいため、施策も回しながら新しい発見を見つけていけるとベストですね。
〈親密性〉×〈好奇心〉(Relator × Curiosity)
→ 相手への探求心によって、深い相互理解と信頼を築く
クリフトンストレングスの〈親密性〉は「少数の人との深いつながり」を重視する才能です。関係構築に長けた才能ですから、〈好奇心〉がかけ合わさると一対一の関係において、「相手のことをより深く知りたいという探求心」として発揮されます。情報を知るだけでなく、実際に会って話を聴きたいという欲求と行動に表れることが多いです。
表面的な会話のほうがつまらないとすら感じるかもしれず、興味を持った相手の背景や価値観、これまでの人生ドラマに惹かれる傾向があります。これによって、相手も自分を振り返るきっかけにもなり得ます。
お互いにとって意味のある深いつながりを育むことができるのが、この掛け合わせの強みですね。
〈慎重さ〉×〈好奇心〉(Deliberative × Curiosity)
→ リスクに目を向けながら新しい価値を積極的に試す
クリフトンストレングスの〈慎重さ〉は「リスクを事前に特定し回避する」才能なので、〈好奇心〉とは正反対の印象があるかもしれません。この掛け合わせは安定志向というよりも「変化しないことへのリスク」を重視して、安全性の高い環境で実験しながら学びます。
身銭を切って自分用の環境を作って試してみるエンジニアさん、AI 界隈には多いのではないでしょうか。ただ試すだけでなく、さまざまな情報を得ながら「どこまでやったらアブナイのか」「ある程度安心できるためには何をすればよいか」を確認する傾向にあります。
こういう方が情報発信をしてくれるから、大きなケガをすることもなく進めるのですよね。
〈活発性〉×〈好奇心〉(Activator × Curiosity)
→ 実践しながら探求し、体験を通じた学習で継続的な成長を促進する
クリフトンストレングスの〈活発性〉は「思考を行動に変える」才能なので、〈好奇心〉の探求行動との相性がとても良いですね。この掛け合わせによって、単なる机上の学習ではなく「行動こそが学習の最良の手段」という信念のもと、実際に体験しながら理解を深めていくスタイルが生まれます。
本人にとっては当たり前ですが、ナチュラルに経験学習サイクルを回すのは独特なんです。〈活発性〉をTOP5に持つ人は、それほど多くありませんから。
この組み合わせを持っていると、「トライ&ラーン」を体現する実践的な学習者としてチームをリードします。もちろん「行動のための探求」になってしまうと暴走しかねないので、探求には明確な目的を持つのがだいじ。そして小さい影響範囲でやっていきましょう。
〈好奇心(Curiosity)〉が1位の方へ
〈好奇心〉の赴くまま、VIA 診断のレポート(有償)を見てみてください。自己探求できる材料が山ほど掲載されています。「なるほどな、確かにそうだな〜」と思うところが多く、受け直すときも宝物になるでしょう。では、それをどう活かすか。
過去に〈好奇心〉が不動の1位だった私からお伝えしたいことが、ひとつあります。
\ 〈好奇心〉の価値を最大化するなら、体力をつけよう /
もうホント、これに尽きます……。旅人も探検家も冒険家も、自分の身体があってこそですからね。〈好奇心〉が高いのに沈黙している方、動けてますか?本来のフットワークの軽さ、忘れていませんか?会いたい人に会いに行けてますか?
もし事情があって動けなくても、身の回りのあらゆることには謎が詰まっています。違いでできています。環境や年齢のせいにしているのはもったいないんですよ。
「なぜだろう?」「もっと知りたい」という姿勢は、他の人にも探求の楽しさを思い出させ、学習する組織や関係性を育む土壌となります。組織やチーム、関係性が成長する糧にもなるんです。自己完結するだけのものではないんですよね。
時には膨大な情報の沼にハマったり、お金を時間を注ぎ込んだことに飽きてしまったりすることもあるかもしれませんが、それでも尽きない豊かな興味関心こそが〈好奇心〉の価値です。今日も小さな問いから始めてみませんか。
カエルコムニスでは〈好奇心〉とクリフトンストレングスを活かした自分らしい取り組み方の探求をお手伝いできますが、ある程度自己探求が深まるまでは ChatGPT にコーチングしてもらうのがオススメですよ。以下は対人で深めたくなったらどうぞ。
\ 資質の特徴から紐解くのでわかりやすい /