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〈調和性〉さんの特徴は?クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)の組み合わせも含めた徹底解説

はい、ごめんください。Gallup 認定ストレングスコーチの小杉です。

すべての人が持つ “才能” を見出して活用するためのツール「クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)」の34資質について、ひとつずつ徹底的に解説していきます。今回は場を動かしていく才能〈調和性〉(ちょうわせい/Harmony®)について。

〈調和性〉は、場の意見を優先し、物事を前進させていく才能です。争いごとが嫌いで、みんなと仲良く活動したいチームワークの天才でもあります。優しいように見えて、実は合理的平和主義の一面も。ケンカを好まないのは、それが「メンドクサイ」からというドライさを持ち合わせています。

  • (場に調和するため)TPOに合わせた格好をしている
  • (場を停滞させたくないため)自分が主張するよりも司会進行が好き
  • (議論を着実に進ませたいため)いつ何をすべきなのかを確認する

こんな様子を見せるのは〈調和性〉さんならではです。Gallup公式サイトはこちら(英語)👇

Gallup.com
The Harmony Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent Learn about your Harmony talents -- how they can help and hinder you, and how you can use them most effectively in this 2018 edition of Mastery Monday.

このストレングスファインダー徹底解説は、Gallup社の公式見解ではなく、あくまで弊社カエルコムニスの知識と経験に基づいた内容です。気になった点や違和感がありましたら、SNSやお問い合わせフォームよりご指摘・ご相談ください。
なお、このページへのリンクや引用(not 転載)、SNSでの言及は大歓迎です。

目次

ストレングスファインダーの〈調和性〉とは?

〈調和性〉さんはみんなが仲良くすれば世界は良くなるという価値観で、団結させるものに関心が向きます。対立は非生産的であるため、溝ができる前に平和的解決を試み、合意できる部分を探し、前進させます。場にさまざまな意見が出ても現実的な共通の土台に着地させてまとめる、陰の立役者です。

〈調和性〉さんは、みんなが仲良くすれば世界は良くなるという価値観で、分断を生む相違点より団結させる共通点に関心が向きます。対立は非生産的であるため、溝ができる前に平和的解決を試み、合意できる部分を探し、前進させます。場にさまざまな意見が出ても現実的な共通の土台に着地させてまとめる、陰の立役者です。

そんな〈調和性〉さんは、“場の空気を読む” のが得意なので「このままだとヤバい雰囲気になりそう」と、直感的に人間関係の摩擦に気づいて仲裁することが少なくありません。常に調和を目指して行動するため、自らの意見が場の空気を変えてしまうくらいなら引っ込めます。

人間関係構築力の資質らしく、声をかけて相手の意見を丁寧に確認する姿勢で他者を尊重します。しかし〈調和性〉さんは「ただ仲良くしていればいい」というわけではなく、共通の目的や目標に目を向けて前進させることを大切にしています。〈達成欲〉さんはひとりでもモリモリ進めますが、〈調和性〉さんはみんなと一緒にモリモリ進めるのが好きなんですよね。

〈調和性〉さんの口癖「みんな、どうする?」

〈調和性〉さんは、全体の意見をまとめて合意を得てから進みたいために、口癖にもその傾向が表れています。

  1. 「ここだけの話にせず、皆さんに確認して進めましょう」(合意を尊重)
  2. 「◯◯さん、これで合ってますか?」(後戻りのないように確認する)
  3. 皆さんが良いなら、それでいいと思います」(全体意見を尊重)
  4. まあまあ、今は◯◯の話をしているんですよね?」(仲裁して議論を前進させる)
  5. 確認の連絡がないけど、進捗大丈夫?」(相手にも確認を求める)

議論に参加している相手(時にはキーパーソン)の合意を取ったり、物事を進めるにあたって確認したりすることが多いです。また「何を言っても無駄かも……」と判断すると、うつむいて口数が少なくなり、コミュニケーションを最低限にする傾向もあります。

また、すべての上位資質には怖れを含んでいるので、同じ資質を相手に求めることが多いです。〈調和性〉さんの場合、当たり前のように確認して進めるために、相手からの確認行為がないと「これ、進んでる……?大丈夫?」と心配になりやすいことも。

しかし〈調和性〉さんは多人数でも議論を進ませ、後戻りなく行動し、着実に前進させるため、チームワークに不可欠ともいえる才能ですね。上記のような短所に見える特徴は、安心できる環境では自然と落ち着き、前進させたい気持ちのほうが強まります。

〈調和性〉の感情的な特徴

人間関係構築力系の資質は、感情的な特徴が比較的強く出る場合が多いです。

その中でも〈調和性〉は、「和をもって貴しとなす」という言葉が当てはまります。これ、聖徳太子が制定した憲法十七条の最初の一部なんですね。もともとは孔子の論語からだとか。興味があれば調べてみてください。

一に曰く、和(やわらぎ)を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。人皆党(たむら)有り、また達(さと)れる者は少なし。或いは君父(くんぷ)に順(したがわ)ず、乍(また)隣里(りんり)に違う。然れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)うに諧(かな)うときは、すなわち事理おのずから通ず。何事か成らざらん。

十七条憲法 – Wikipedia

超訳すると、「ケンカしないのが一番。人は群れる割に熟達者はほとんどいない。だから好き勝手やっちゃう。でも上司が和やかに部下とじっくり対話すれば、自然とうまくいくし、何でもできるようになる」ってことでしょうか。大前提として上下関係がありますが、だからこそ上の者が下の者と話し合うことで、スムーズに物事が進むんだよと。

ですから、失敗を恐れたり成功を望んだりという欲求よりも、リスクもメリットもすべて合意したうえで一緒に進めたいという思いが強いのです。みんなで決めたことだから、安心して進めるんですよね。

争いを無駄だと感じる〈調和性〉さんだからこそ、心理的安全性の高い場を望みますし、そのような場作りを心がけます。そのほうが “何事か成らざらん(できないことは何もない)” ですもんね。

〈調和性〉は、サラリーマン気質?

〈調和性〉の資質は、アジア圏で比較的多いようです。日本では〈最上志向〉の次に多い資質です。

自分が主導するよりも、相手やチームの意見を尊重したいために、リーダーらしさは皆無に思われやすい〈調和性〉さん。ひとりで何かをするよりも、一緒にやりたい特徴を持っているためか、大きめの組織に所属していることが多いと言われています。このあたりが「サラリーマン気質」と言われやすい所以かもしれませんが、〈調和性〉の経営者は少なくありません。

目立つことを嫌い、突出することも足を引っ張ることも避けたい〈調和性〉さんですが、「次世代型のリーダーシップ」と呼ばれるほど、強力なリーダーシップを発揮できます。それが「サーバント・リーダーシップ」。詳細は本家の記事をご参照ください。

NPO法人 日本サーバント・リーダ...
スピアーズによるサーバント・リーダーの属性 | NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会 サーバントリーダーシップは、傾聴、共感、癒し、気づき、納得、概念化、先見力、執事役、人々の成長への関与、コミュニティづくりの10の特性からできています。

そもそも〈調和性〉さんは、議論が前進して合意が生まれることを欲します。ですから、何も決まらない雑談のような場は逆に「これ、何について議論してるんだっけ……?」と混乱したり、「は?今なんの時間だったの??」と怒りを感じたりすることも少なくありません。意見を出さなくても、不満がないわけではありません。

そのため、自分の意図を持って進められる司会やファシリテーターのような、フラットな立場でチームを俯瞰してサポートする立場になると、心理的安全性の高い場をつくり、決めることを決めてチームを前進させます。

これはもう、フォロワーさんに信頼されるリーダーじゃないですか。

〈調和性〉の才能を具体的に活かす

〈調和性〉の資質イメージイラスト:打ち合わせで発言の様子を見ている男性 / generated by Midjourney

ストレングスファインダーで診断した時点では、“強み” というより “才能”(強みの種)なのですが、〈調和性〉は「場の合意を取りながら進める才能」です。

争い事を嫌うあまり、相手の顔色をうかがって自分の意見を言わず、周りに合わせないと落ち着かないために「自分から動くなんてとんでもない!」と感じている〈調和性〉さんも少なくないかもしれませんが、長所と短所は表裏一体。これまでの言動を振り返ってみると、長所として発揮されていたときはあるはずなんです。もしそれが、偶然に感じるとしても。

そのとき何が起きていたのかを分析し、認め、時には磨き、時には喜ばせることで、どんなときにも生産的なパフォーマンスを最大化できるようになります。この能力こそが「強み」です。そもそも、ストレングスファインダーは200万人のハイパフォーマーのインタビューから40年かけて生み出されたものですから、すべての資質は優劣なく尊いものなんですよね。

〈調和性〉の長所を磨いて強みにする

そんなわけで〈調和性〉の資質はチームで遺憾なく発揮されていることが多く、以下のような長所が見られます。

  1. 意見の対立が起こったときでも中立的な立場で双方の意見を理解し、共通項を見つける。
  2. プロジェクトメンバー間の認識のずれや不安を早期にキャッチし、明確にする。
  3. ネガティブな意見や感情を適切に処理し、チームのモチベーションを保つ。
  4. 新しく入ってきた人の意見や疑問を尊重し、チームに受け入れる。
  5. メンバーの能力や状況を確認し、納期やタスクを調整する。
  6. 顧客の意見や立場を尊重しつつ、双方が納得する結果を目指す。
  7. 異なる意見や要求をバランスよく取り扱い、優先順位を確認して進める。
  8. 異なる意見や考え方を統合し、一貫した方向性の計画を立てる。
  9. 外部の異なる組織や文化があっても、議論に中から共通の価値や目的を見出す。
  10. 関係者に根回ししながら、最も合理的で平和的な方法を提案する。
  11. 定期的なチームミーティングにより、参加者全員の声を聞いて全員が納得する結論に導く。
  12. 中立的な立場を取りながら、人間関係のトラブルを緩和してサポートする。
  13. 全員が納得してスムーズに業務が進むよう、プロセスの整備改善を相談する。
  14. チームの意見や希望を取り入れ、共通の目標を設定する。
  15. 様々な意見を受け入れ、最も受け入れられる案を推進する。

チームとして物事が進むのは当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、私(コスギ)のように〈戦略性〉が高いメンツだけが集まると、「アレもできる」「コレもできる」とアイディアは出るものの、やるかどうかは別、という状況が少なくないのです。だから意識して具体的に決めて進める必要がありまして。

〈調和性〉さんがいてくれるだけで、着実にモノゴトが進みます。いるのといないのとでは大違いなんです。議論が空中戦になっているなと感じたら、ぜひ「そろそろ、いつまでに何をやるのか決めませんか?」と発言してください。場が一気に収束に向かいます。〈調和性〉さん的には、段取りしたいじゃないですか。

また、心理的安全性を必要とするために、〈調和性〉さんの感性を認めてもらえないような環境はとてもしんどくなり、心を開きたくても開けなくなります。特に人間関係構築力資質にとっての精神的孤独は針のムシロなので、せめて2名以上の〈調和性〉さんが同じチームにいるか、〈調和性〉の資質が尊重される場があると、安心して活動しやすいです。

リモートワークなどで一人になってしまいやすい〈調和性〉さんは、他の上位資質を活かしたり、職場に相談できる人をつくりましょう。それができれば……と思うようなら、キャリアを考え直すタイミングです。

〈調和性〉さんの強みを引き出す声かけ

他者との関係性で活かされる〈調和性〉の資質を伸ばし、積極的にチームやプロジェクトへの貢献を促進するには、安心安全な場で声をかけることが効果的です。大勢の中で注目されることは好まないため、全体の場に出る前後で「確認」や「相談」をしておきましょう。

  • こういう方向で進めようと思うのですが、率直に、違和感ありますか?(空気感の直感を借りる)
  • さっきの顔合わせ、みんなが納得できる方向性はありそうでしたか?(共通項のセンスを借りる)
  • (何人かに意見を聴きながら)◎◎さんは、どう考えますか?(中間まとめの役割)
  • 皆さんの快適な作業のために、どんな環境があればいいと思いますか?(心理的安全性をつくる)
  • まとめ役として、会議に参加してもらえると助かります(収束力を借りる)

場の状況をよく把握しているので、打ち合わせの場などでキーパーソンの存在もだいたい見当がついていますが、実際にキーパーソンは誰かと聞かれても、名指しすることで余計な摩擦を生みたくないという気持ちのほうが強く出ます。

このような話に限らず、調和を乱しかねない言動は(特に上下関係のある相手には)慎重になりやすいため、「話しても大丈夫」と安心できる信頼関係が大切です。あくまで「みんなと合意した意見」として前進させたいためです。

〈調和性〉と他の資質との組み合わせ

〈調和性〉の資質イメージイラスト:仕事を相談しながら進めているビジネスマン / generated by Midjourney

ストレングスファインダーの結果には、〈調和性〉を含めて34の資質があります。たとえば〈責任感〉は、約束を自分ごとにして最後まで確実にコミットする才能ですし、〈着想〉は一見関係ないものから新しいつながりを閃く才能です。このような他の資質と〈調和性〉の特徴が組み合わさると、合意を大切にしたり、場をよく見たり、収束する力が生まれたりします。

そんなわけで、〈調和性〉との組み合わせ例を挙げてみました。ただし、特に〈戦略性〉や〈着想〉などの拡散力とは相反する傾向があるため、現実的には同時に発揮されないことのほうが多いです(そもそも、上位に併せ持っている方も少ないです)。以下はあくまで参考として、さまざまなタイミングにおける〈調和性〉さん自身の感性を大切にしてください。

  • 調和性 × 達成欲:チームで合意した目標を達成するために、たくさんのタスクをこなす。
  • 調和性 × 活発性:自ら積極的に行動して、会議の前に関係者に合意を得ておく。
  • 調和性 × 適応性:不確実性を受け入れながら、変化について他者と相談し合う。
  • 調和性 × 分析思考:論理的・客観的な観点から、議論の共通点をまとめる。
  • 調和性 × アレンジ:キーパーソンを頼って相談しながら、一緒にモノゴトを進める。
  • 調和性 × 信念:調和を自らの信念とし、常に場のバランスを保って自然に前進させる。
  • 調和性 × 指令性:明確な指示を出すことで、チーム全体の方向性を確立して進める。
  • 調和性 × コミュニケーション:お互いの考えを言語化することで、場に調和をもたらす。
  • 調和性 × 競争性:自らのチームの方向性をまとめ、一丸となってライバルとの競争を楽しむ。
  • 調和性 × 運命思考:まとまった意見に意味を見出し、その意味によって調和をもたらす。
  • 調和性 × 公平性:場に参加しているすべての人から意見を引き出し、まとめて進める。
  • 調和性 × 原点思考:これまでの背景情報を参照しながら、調和や平和を追求する。
  • 調和性 × 慎重さ:リスクを慎重に評価しながら、安心安全なアプローチを選択する。
  • 調和性 × 成長促進:共に合意して進むために、相手の違和感が解消するまで寄り添う。
  • 調和性 × 規律性:一定の秩序を元に安定的な調和をもたらし、行動を継続する。
  • 調和性 × 共感性:他者の気持ちを深く理解しながら、感情的な調和を深めて強固にする。
  • 調和性 × 目標志向:全員の合意によって明確な目標を決め、邁進する。
  • 調和性 × 未来志向:明確なビジョンを共有して、チームの方向性を未来に向ける。
  • 調和性 × 着想:場が停滞しているときには、新しいアイディアをもたらして突破する。
  • 調和性 × 包含:多様性の中にも共通点を見つけ、心理的安全性を生み出し前進させる。
  • 調和性 × 個別化:大きな目的の元、個々の強みや特性を尊重することに合意を求めて進める。
  • 調和性 × 収集心:合意を得て進めるための情報収集を欠かさず、必要に応じて提供する。
  • 調和性 × 内省:自己の感情や思考を探求しながら、他者との調和や理解をじっくり深める。
  • 調和性 × 学習欲:他者との相談によって好奇心が刺激され、共にスキルアップに励む。
  • 調和性 × 最上志向:チームに合意を求めながら、着実に質の良さを追求し続ける。
  • 調和性 × ポジティブ:場のモチベーションをアップさせ、前向きな合意をもたらす。
  • 調和性 × 親密性:深い信頼関係の間柄で相談を欠かさず、一緒に活動する。
  • 調和性 × 責任感:お互いに合意した約束を果たすため、確実に進めてやり遂げる。
  • 調和性 × 回復志向:チームで問題解決に取り組む過程で、内部の調和を保てるようサポートする。
  • 調和性 × 自己確信:チームにリスクを認識させつつ、自らの価値観とのバランスを取る。
  • 調和性 × 自我:他者と調和し共に前進させる中で、自らの必要性を確立する。
  • 調和性 × 戦略性:全体で決定した方向性の中で、要領よく進めていく。
  • 調和性 × 社交性:積極的に人々と関わりつつ、相手の話を伺いながら友情を深める。

日常生活において、資質は1つのみで発揮されることはほとんどなく、無意識にいくつかの資質が組み合わさって発揮されています。〈調和性〉は人間関係構築力や実行力の資質と一緒に発揮されることが多いですが、影響力や戦略的思考力と合わさった場合、どのように発揮されるのかはまさに千差万別。

そのような個人差は、ストレングスファインダーの診断後に確認できるレポートに「インサイトガイド(強みの洞察ガイド)」が参考になります。同じ〈調和性〉持ちの方と、共通点や相違点を知って共感し合うのもオススメですよ。

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まとめ

〈調和性〉さんの中には「争いごとが嫌いで引っ込み思案。長いものには巻かれたい。自分で決めるより決めてもらったほうがラク。その場で不満は言えないから、あとからグチグチ言っちゃうし……。こんな才能って何の役に立つの?」と仰る方がいらっしゃいますが、これはわかりやすく短所が見えているだけです。人間、長所より短所のほうがよく見えますしね。

そして、こんな〈調和性〉さんに「議論が進まないと、どんな気持ちになりますか?」と伺うと、(状況にあきらめていなければ)たいていの場合「モヤモヤするし、時間の無駄だと感じます」という回答が返ってきます。これが、〈調和性〉さんの強さ。

上位資質って自分にとっては当たり前すぎるので、お互いに「なーんでわっかんないかなあ〜!?」と思っています。ストレングスファインダーによって「あ、そりゃわからんわな」と理解できれば、お互いに歩み寄れます。やり方が違うだけなので、目的を共にして同じ方向を向いて進めば、お互いに補完しあえますし。

この「同じ方向を向いて目的地がわかる」条件があると、〈調和性〉さんは縁の下のチームワーク力を発揮しやすくなります。ものすごく自然に、後戻りなく着実に前進できるようになるので、「長所が発揮されている感覚」があまりないかもしれません。ただ、違和感はほとんどなくなります。

幸せな状態に幸せを欲することがないように、調和が取れているなら調和を求めることはありません。このバランス感覚は〈調和性〉さんならではなので、「あっ(察し)」と感じたときに〈調和性〉の才能を信じて一歩踏み出してみてください。

どうしてもご自身の才能がピンと来なければ、一緒に強み使いされている〈調和性〉を紐解きましょう。秘密は厳守するので、不満を爆発させたいときにお声がけいただいても大丈夫ですよ。溜まりに溜まったものを出し切って、残ったものを見つめましょう。

\ 資質の特徴から紐解くのでわかりやすい /

ここからは、ちょっと余談です。

私(コスギ)は〈戦略性〉2位・〈調和性〉33位。対して夫は〈戦略性〉34位・〈調和性〉5位、キレイに正反対のパートナーです。このように、夫婦や共同経営者など生活を共にするパートナー同士は、同じ資質と合わせて正反対の資質を持っていることが少なくありません。信頼関係で補完しあっているんですよね。

一度、私が大量のデータがらみの仕事を、夫にお願いしたときの話を共有します。顧客や個人に関わる情報ではなく、公表されているデータの整理をお願いしたものです。

私は何気なく「こういう目的なので、こういうのを作ってほしい」と伝えました。これだけ説明すれば、エクセルファイルを作ってくれると思っていたのです。見て考えればわかるだろう、わからなければ聞くだろう、8割くらいできれば、あとは私の方で整えればいいや、まあ急ぎの仕事でもないし、2時間くらい想定しておけばいいよねと思って。

そしたら彼は「いやいや、教えてよ」と言うのです。「こいつ、人にモノを頼むのに何言ってんだ」という表情で。私はメンドクサイなという言葉を飲み込みつつ(顔には出ていたかも)、

「いやいや、エクセルにデータまとめるだけだし……VLOOKUPとかよく使うから、得意って言ってたでしょ?」

「VLOOKUP必要なの?というか、求めてる仕様が全然わからんから、具体的に何をしてほしいのか言ってよ」

「それは、まとめるためのテキストデータの項目を見ればわかるし、書式がバラバラだから揃えてほしいの」

「じゃあ1行目だけでいいから、一緒にやろうよ」

今度は私が「こいつ何言ってんだ」という表情をしていたことでしょう。

これが目的を大切にする〈戦略性〉と手段を大切にする〈調和性〉の違いなんだろうな、かといって〈戦略性〉のやり方は考え方だから伝えてもしょうがないしな、具体的な手段を伝えるなら私がやったほうが早くないか?、いやここは面倒臭くても説明してみたら何かが変わるかもしれない、私が見えてないこともわかるかもしれない、でもそれはやりながら見つけていけるもんだしなあ、てか本当に説明面倒くさいな、だけど資質を借りてみるいいチャンスだからがんばってみよう、と(3秒ほど)考えてから「じゃあ説明するけど……」と、データの一行目を一緒に作りました。

途中で、「これならアレにしない?」「この書式はコレで揃えることにしよう」などと相談が入り、結局、1行つくるのに15分くらいかかりました。ここらで、私はそれなりにイライラしています。5位に〈活発性〉もあるため、自分の時間を無駄に使われたような気持ちでした。「私がやったほうが早かったんじゃ……」という気持ちは隠せません。

とはいえ、これで1時間くらいは集中できると安心し、お互いにパソコンに向かい合っていたのですが、30分もしないうちに、

「終わったんだけど、どこに置けばいい?」

と、声をかけられました。私はと言えば、集中が中断されて不機嫌モードです。あれだけ「自分でやったほうが早く終わるのに」とイライラしていたにもかかわらず。否、イライラしていたからこそ邪魔されたという感覚が強くなったのかもしれません。短い言葉で共有の Dropbox に入れてもらって、私は今度こそ自分のペースで仕事を終わらせました。

ストレングスファインダーは「やり方の違いだけで、目的が同じならパフォーマンスは飛躍的にアップする」とはよく言われますし、私も上記で伝えていますが、この「やり方の違い」はマインドと密接なつながりがあることも、この一件で身に沁みています。実際、想定以上の早さで終わったので、私のほうが追いついていないほどです。

次回、夫に仕事を頼む際には仕事を3つほど用意しておき、(〈公平性〉1位のために)かんたんな手順書を一緒に確認できる時間をつくります。そうやって事前に想定しておいたほうが、こちらも動きやすいですし(今のところ、全部自分でやっちゃっていますが……)。

チームがチームとして最高に機能するには、混乱期、つまり「お互いにイライラする時期」がほぼ必ずあります。それを乗り切るためには相互尊重と相互信頼が不可欠なんですよね。ストレングスファインダーを導入しても、結局何も変わらないどころか免罪符に使ってしまうようなら、マインドも合わせて見つめていきたいものです。

〈調和性〉さんはみんなが仲良くすれば世界は良くなるという価値観で、団結させるものに関心が向きます。対立は非生産的であるため、溝ができる前に平和的解決を試み、合意できる部分を探し、前進させます。場にさまざまな意見が出ても現実的な共通の土台に着地させてまとめる、陰の立役者です。

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著者

話しているとゴキゲンになれるメンタルマネジメントの人。ストレングスファインダー®を扱うGallup認定ストレングスコーチです。心理学はエリック・バーンの交流分析とカール・ロジャーズの傾聴が大好き。WordPressの勉強会やサイト制作、ウェブマーケティング支援など、ウェブ方面でも色々とやっています。登壇は楽しく役立ちわかりやすく、がモットー。

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