はい、ごめんください。Gallup 認定ストレングスコーチの小杉です。
日常的な思考・感情・行動の生産的なパターンを「才能」とし、強みとして磨いて活用するためのツール「クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)」について、ひとつずつ徹底的に解説していきます。今回は〈競争性〉(きょうそうせい/Competition®)です。
英語でも「競争」を意味する〈競争性〉さんは、
- (勝利を渇望しているため)常にトップを目指し、勝利を最優先する
- (競争が活力になるため)競争機会をエネルギー源として活用する
- (他者との比較と評価を重視するため)成果や成績にこだわる
といった態度を見せます。Gallup公式サイトはこちら(英語)👇
ストレングスファインダーの〈競争性〉とは?
〈競争性〉さんは、1位を獲得するために努力し、負けるような勝負はしません。1位であることが明確にわかるよう、誰もがわかる指標を好みます。 競争相手を良きライバルとして、成長の糧にします。努力の先に得られた勝利の感動は周囲にも情熱を伝播させ、チームの結束力を更に高めます。
勝つためには、向かうためのゴール、勝敗を決める指標、勝利条件、勝つための戦略、それを実行する努力など、いくつもの要素が必要になります。〈競争性〉は「勝ちたい!!」というシンプルな欲求を持つ才能ですが、その前提にやるべきことはいくつもあります。これをすべてクリアして進むのが特徴です。実はかなりの努力家。
34資質の中でも「人々を(自分の望む方向へ)動かしたい」といった欲求を持つ影響力の資質の領域に含まれます。世界的な統計で見ると、この影響力資質をTOP5に持つ人は多くないうえ、特に〈競争性〉を上位に持つ人は稀です。ですから、勝ちにこだわる姿勢が〈競争性〉さんにとっては “普通” のことでも、周囲からは珍しく思われることがあるかもしれません。
〈競争性〉さんの口癖「絶対に勝つ」
〈競争性〉さんは欲求も行動も、一貫して「勝ちたい!」なので、それが口癖にも表れます。ライバルが複数ある場合、2位以下は負けた感覚が強いので、当然のように1位を狙います。
- 「ライバルに負けないためには、どんな戦略が必要?」
- 「うちがトップシェアを取るために、この布陣で行きます」
- 「このプロジェクト、僕たちが絶対に勝つぞ!」
- 「今日の商談、絶対に成功させるぞ!」
- 「この成果はベスト記録だ!次の目標はココ!」
勝負スイッチが入ると全力を尽くそうとするため、「絶対に」「圧倒的に」といった強い言葉がつくことも多いです。おそらく本人は無意識で話しているので、内包するエネルギーの大きさを物語っていますね。
〈競争性〉の感情的な特徴
〈競争性〉さんの勝敗に対するアンテナは、〈競争性〉が低い人に比べると(感覚値として)100倍以上の違いがあるといっても過言ではありません。相手が子どもでも、知らない人でも、手を抜かず本気で挑みます。もちろん人だけでなく、ビジネスなどの経済活動でも発揮しています。
勝負スイッチがオン・オフで入るような〈競争性〉さんもいれば、常時ゆるやかに競争の機会を伺っている〈競争性〉さんもいます。どういったタイミングで勝負するのかは人それぞれですが、シンプルな欲求だからこそ、勝つか負けるかの二者択一になりやすいことが特徴的です。勝ったときは素直に喜びますし、負けたときは本気で悔しがります。個人差はあるものの、情熱を持って取り組むほど成果に対して感情的になるのは、〈競争性〉が上位になくても理解できるのではないでしょうか。
競争は他者との比較によって行われますが、常に自分がトップであることを強く求めすぎると、時として相手を蹴落とすことで自分の地位を守ろうとします。これは才能が未熟な状態で発揮されてしまっているうえ、「いつか自分も蹴落とされるのではないか」という恐れも生まれてしまい、負のスパイラルになりかねません。
本来の〈競争性〉の資質は、単に他者を打ち負かすことに限りません。競争は根源的ともいえる欲求ですが、同時に「使い慣れた手段」です。本来の目的を見失うことなく、外部の存在を活用して限界を超えられる才能なんです。もし負けたとしても本気で悔しいと思える情熱がありますから、何度でも立ち上がれます。状況によっては燃え尽きやすいため、立ち上がるまでに時間がかかることもあります。〈競争性〉の声を聴いてください。
一度勝てば満足するような才能ではないですし、勝ち続けるためにはライバルを必要としますし、自己研鑽も怠りません。勝つために情熱を持って努力する〈競争性〉さん、アツいですね〜
〈競争性〉は、勝ちたがり?
〈競争性〉さんが「勝ちたがり」かそうでないかといえば、「勝ちたがり」ではあるでしょう。34の資質はすべて根源的欲求とも言える価値観を持っていて、〈競争性〉さんにとっては「勝利」がそれというだけです。
本来、負けるリスクに対処しながら本気で努力して得られた勝利のほうが充実するのですが、それなりに時間も気持ちも投入するので疲れますし、負けると半端なく落ち込むので、恐怖が表裏一体です。ですから、ときには努力なく勝てる勝負をして気持ちを回復させることもありますが、やはり「努力しなければ負ける」くらいの勝負を好みます。
そもそもパワフルな才能ですから、そのエネルギーを勝つための努力に使うくらいがちょうどよいのですよね。
勝つためには手段を選ばない〈競争性〉?
ということで、負けることへの恐怖が過度に募ると才能が暴走し、勝つことが目的となりかねません。
たとえば、英語を学びたくて学習アプリを入れたのに、ランキング1位を死守するためにコスパよくポイントを稼ぐような行為をしがちになるようなものです。〈競争性〉さんが1位にこだわることは悪いことではありませんし、欲求としてゼロにすることもできません。ただ、本来の目的を大切にするなら自分に見合ったライバルを見つけて競うなど、勝利条件を最適化したほうがヘルシーです。
またチーム活動において単独行動が目立ってしまう〈競争性〉さんは、焦って勝つことしか見えなくなってしまっています。「他のメンバーがやる気がない」と感じ、フラストレーションも溜まってしまうことでしょう。準備ができた〈競争性〉さんはフットワーク軽く戦えますから、チームメンバーにも同じように動き、お互いにサポートしてほしいと思うことでしょう。これは、焚き火で1本だけ先に燃え上がってしまうようなものです。
情熱を持って全力で勝負する〈競争性〉さんですから、ワンマンとも思える行動の裏には、負けることが怖いこともあるかもしれませんが、同じように情熱を燃やしてほしいという魂の叫びがあります。チームで勝利したら、その先には素晴らしい世界が広がっていると信じられるからこそ。それを伝えきる前に勝負に挑むのはもったいない。
〈競争性〉の資質は34資質の中でも統計的にレアなので、ストレングスファインダーの共有による相互理解があったほうが摩擦を軽減できます(影響力のようなエネルギーの大きい人が、そうでない人に同じことを求めると疲弊します)。そうやってお互いの共通認識をつくりながら、チーム力で勝てるように準備して挑んだほうが、得られるリターンも大きいですよね。
〈競争性〉が下位にあると、競争が嫌い?
ストレングスファインダーのALL34の結果を見て、30位以下にある〈競争性〉を理由に物事を判断する方は少なくありません。ですが、下位資質は「嫌い」というより「どうでもいい」のです。
競争を「嫌い」と感じるようなら、上位資質が未熟な状態で発揮されており、「競争」に対する偏見があります。〈調和性〉や〈共感性〉など、感情の機微をキャッチしやすい人間関係構築力を持っていると、「競争は無駄なケンカ」「競争は気持ちがすり減る嫌なもの」と感じやすいかもしれません。シンプルに、上位資質の反応です。過去に、未熟な〈競争性〉さんに巻き込まれた可能性もあるのですが。
〈競争性〉さんのことを知れば、勝ちにこだわる裏の努力に共感できることもあるでしょう。世の中にはポジティブな競争がたくさんあります。ビジネスにおける「競争」と「共創」のどちらも大切にするために、お近くの〈競争性〉さんの力を借りてみてください。成長をモリモリ促進してくれますよ。
〈競争性〉の才能を具体的に活かす
ストレングスファインダーで得られた結果は、強みではなく無意識の習慣やクセみたいなものですから、そのままでは強みになりません。〈競争性〉は「勝つために努力を惜しまない才能」ですから、ここぞというときにゲーム性を取り入れて、勝負スイッチをオンにしましょう。
〈競争性〉の長所を磨いて強みにする
〈競争性〉さんは、適切な競争相手を見つけ、目標に向かって努力できる環境をつくることで長所を発揮しやすくなります。
- 初めてのプロジェクトを始める際に、ベンチマークを第一目標として設定する。
- 適度なゲーム性を取り入れて、チームのモチベーションを高める。
- 市場でトップシェアを獲得し続けるための、新しいアイデアを生み出す。
- チーム内の健全な競争を促進し、全員のパフォーマンスを向上させる。
- 売上競争で、自分とチームの記録を更新し続ける。
- 目標達成のために、効果的な戦略や方法を考案し実行する。
- 短期間で高い目標を達成するための集中力を発揮する。
- チームメンバーの成果を見える化し、お互いの努力を認め合う。
- ビジネスコンテストやアイデアピッチで優勝するためのプレゼンを準備する。
- 目標達成後、次の目標に向けて行動し、継続的に成長を追求する。
- チーム内でリーダーシップを発揮し、他のメンバーを鼓舞する。
- 学びのライバルと共に、スキルや知識を継続的に向上させる。
- タイトなスケジュールの中でも、目標達成に向けて効率的に作業を進める。
- 勝利のためにはリスクを恐れず、積極的に挑戦する。
- 競争相手から学び、自分たちの戦略を改善する。
こうして挙げてみると、勝負スイッチの入った〈競争性〉さんは、実行力のように目標を設定して取り組み、戦略的思考力のように勝つための戦略を考え、人間関係構築力のように他者の力を借りながら勝利するといった、すべての才能を包括するような動きをしますね。
これだけの素晴らしい才能なので、勝利の欲求に振り回されて手当たり次第に行動してしまうと、せっかくの才能が発散してしまいます。集中して取り組める環境をつくることも、勝利の要因。焦らず貪欲に、着実に勝てるように行動すると、とんでもないことが起きるのは想像に難くありません。
〈競争性〉さんの強みを引き出す声かけ
〈競争性〉さんは勝ちにこだわりますが、成熟した才能はチームを勝利に導きます。そのような強みを引き出す声かけをチームで意識し合うと、お互いの強みを刺激し合うことができます。
- 私たちならトップの成果を出せる。一緒に頑張ろう!(全員にトップを目指す声かけ)
- このコンペなら参加する価値がありますし、大きなチャンスですね!(競争機会の提供)
- 私たちなら、この挑戦を乗り越えてトップに立てます!(目標と努力価値の共有)
- この競争を勝ち抜くために、みんなの強みを生かした戦略を立てましょう(目的に競争を含める)
- この大会で優勝するために、チームワークを活かしましょう!(チームでの競争機会の提供)
〈競争性〉さん個人を動機づけすることもできますが、チームプレイが必要な場合は「私たち」という言葉を使って視野を広げると、同時に他の上位資質も刺激され、焦らず進めやすくなります。影響力の大きなエネルギーを他者や社会のためにも使えるようになってくると、成熟した強みとして活かしやすくなりますよ。頼りがいがありますね。
〈競争性〉と他の資質との組み合わせ
ストレングスファインダーの結果は上位5つの資質をメインに説明されますが、資質が単独で発揮されることはほとんどありません。たとえば〈達成欲〉は、限られた時間の中で生産性高くタスクをこなす才能ですし、〈運命思考〉はあらゆるものに意味を見出す才能です。このような他の資質と〈競争性〉の特徴が組み合わさると、「競争機会が動機づけになる」傾向が強まって発揮されます。
以下は、〈競争性〉と他の資質が組み合わさって発揮される状況の一例です。この資質を上位に持っていなければ、どんなときに「勝負スイッチ」が入っているのか、どの資質が関わっているのか、お近くの〈競争性〉さんを観察してみてください。〈競争性〉さんは、ぜひご自身のエピソードを共有してください〜!
- 競争性 × 達成欲:精力的な努力をいとわず、勝利へのプロセスにも充実感を得る
- 競争性 × 活発性:競争の機会を見つけるとすぐに参加して勝利し、高いモチベーションを維持する
- 競争性 × 適応性:変化する状況に素早く対応し、競争優位を維持する
- 競争性 × 分析思考:データと分析を用いて競争上の優位を見つけ出し、根拠を持って進む
- 競争性 × アレンジ:勝つためにチーム内外のリソースを最適化して取り組む
- 競争性 × 信念:正々堂々と勝負し、勝利に向けて粘り強く取り組む
- 競争性 × 指令性:リーダーシップを発揮し、チームでトップシェアを獲得する
- 競争性 × コミュニケーション:情熱的なプレゼンによって、チーム全体のやる気を刺激する
- 競争性 × 運命思考:人事を尽くして天命を待ち、負けても意味を見出して次につなげる
- 競争性 × 公平性:誰もが参加でき、明確で公平なルールのもとで競争し、勝利する
- 競争性 × 原点思考:根本原因を突き止め、競争上のアドバンテージを見つけ出す
- 競争性 × 慎重さ:競争のシミュレーションを行い、リスクを最小限にして負けない
- 競争性 × 成長促進:ゲーム性を取り入れて、他者の成長を効果的に促す
- 競争性 × 規律性:組織的なアプローチで競争優位を確保し、より仕組み化して維持する
- 競争性 × 共感性:チームメンバーに配慮し、競争を健全かつ建設的なものにする
- 競争性 × 目標志向:明確な勝利条件のもと、目標をロックオンして勝利をつかむ
- 競争性 × 未来志向:将来のビジョンに向けて競争し、チームの目標達成に貢献する
- 競争性 × 調和性:チーム内の調和を保ちながら競争を促進し、全員が一丸となって目標に向かう
- 競争性 × 着想:創造的なアイデアを活用して、斬新な競争優位性を見つけ出す
- 競争性 × 包含 :チームにゲーム性を取り入れ、メンバー全員の競争力を高める
- 競争性 × 個別化:個々の強みを理解し、それぞれの才能を競争優位に変える
- 競争性 × 収集心:情報やリソースを調べて集め、競争上のアドバンテージを構築する
- 競争性 × 内省:勝つことについて熟考し、勝敗に関わらずじっくり反省し次に活かす
- 競争性 × 学習欲:競争の機会に挑戦するプロセスから学び、スキルを磨き続ける
- 競争性 × 最上志向:常に最高の成果を目指し、一流のトップシェアを築く
- 競争性 × ポジティブ:チームを鼓舞しながら人一倍の情熱で競争し、勝利を喜ぶ
- 競争性 × 親密性:お互いに競い合って高め合うライバルとの勝負を心から楽しむ
- 競争性 × 責任感:チームに勝利を約束し、それをモチベーションとして貢献する
- 競争性 × 回復志向:競争力が衰えた困難な状況からでも、V字回復させる
- 競争性 × 自己確信:自己の信念に基づき、競争を通じてチームを成功に導く
- 競争性 × 自我:プロジェクトの社会的価値が認められるよう、圧倒的なトップシェアを目指す
- 競争性 × 戦略性:さまざまな戦略を駆使して、着実に勝利する
- 競争性 × 社交性:協力関係を広げて応援をもらい、大きな競争優位性を得る
〈競争性〉さんのモチベーションが「勝利」であることは変わりませんが、人間関係構築力系の資質と組み合わさるとマイルドになり、「ゲーム性の導入」くらいに落ち着くことがあります。まあ、手を抜かずに勝つんですけど。実行力と組み合わさると、目標達成が勝利条件になっていると燃えやすいですね。影響力と組み合わさるとリーダーになりやすいぶん、チーム全体を底上げする意識を持つくらいがちょうど良いでしょう。
なお、〈包含〉×〈競争性〉についてはケンジーさんのエピソードが参考になります。以下の記事をどうぞ。
TOP5に〈競争性〉があるなら、ストレングスファインダーの診断後に確認できるレポートの「インサイトガイド(強みの洞察ガイド)」に書かれている記述を熟読してみましょう。TOP10以内にあっても、インサイトガイドにエッセンスが入っているかもしれません。
まとめ
〈競争性〉さんは、横を見ながらタイミングを見計らい、ぐっと前に出るような才能です。闘争心が高く「勝つか、死か」みたいなガツガツした印象の割には、情熱的な努力家の一面も。自分が認める優秀なライバルと競い合える環境でイキイキします。ヒーローアニメの主人公みたいなところがありますね。
とはいえ、〈競争性〉の資質は下位になりやすいために、「1位になるのって、そんなに重要……?」と思う方も少なくありません。上位と下位で価値観の相違が起こりやすいですが、〈競争性〉さんにとっては自分自身の栄養となるようなゴチソウなんです。チームに〈競争性〉さん(と思しき人)がいたら、お互いに納得できる勝利条件の認識をすり合わせましょう。
すべての資質にはそれが目的にすり替わってしまうほどの欲求があります。その欲求をぶつけ合うだけでは、平行線です。人間はひとりでできることは限られていますから、本来、お互いを必要とします。このお互いの中にある「違い」こそが、成功の源。「一緒にやっていく」ために、お互いの強みを持ち寄りましょう。
特に〈競争性〉は他者を必要とするエネルギーの大きい才能ですから、理解を深めてハンドリングしたいですね。もし勝つことに振り回されていたら、そこまで固執する理由を一緒に紐解きましょう。そして、集中して取り組める新たなライバルを一緒に探していきましょう。ストレングスコーチングでは、そんなご相談も受け付けています。
\ 資質の特徴から紐解くのでわかりやすい /
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